2014 Fiscal Year Annual Research Report
PPARαアゴニストによる肺腫瘍抑制メカニズムの検索
Project/Area Number |
24591159
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
久野 壽也 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00345779)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PPARα アゴニスト / 肺 / 腫瘍 / 肥満 / 高脂血症 / 高インシュリン血症 / 発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満、高脂血症、糖尿病を自然発症するTsumura Suzuki Obese Diabetes (TSOD) マウスは4-nitroquinoline 1-oxide(4-NQO)に対して感受性を示し、肺に増殖性病変を形成する。これまでこのモデルを用いて、PPARαアゴニストであるfenofibrateの混餌投与が高脂血症、高インシュリン血症、高IGF-1状態を改善するのみでなく、肺増殖性病変を抑制することを報告してきた。代謝障害の改善が肺腫瘍の発生を抑制することが明らかになったが、代謝障害が肺腫瘍感受性に及ぼす影響は依然不明である。TSODマウスの対照マウスで、代謝障害のないTSNOマウスとTSODマウスの4-NQO誘発肺腫瘍発生率を比較した。 36匹のTSOD及び同数のTSNOマウスをそれぞれ2群にわけ、一方に4-NQO、もう一方に溶媒のみを投与した。30週後に肺を摘出し病理組織学的な評価を行った。また、4-NQOの代謝活性化酵素である4-NQO NAD(P)H quinone oxidoreductase-1 (NQO-1)発現を肝臓と肺で評価した。実験終了時の血清中性脂肪、遊離脂肪酸、総コレステロールはTSODマウスがTSNOマウスに比べて有意に高値であった。4-NQO処置によりTSNO, TSODマウスのいずれにも肺増殖性病変(過形成、腺腫、腺癌)が発生した。発生率、1匹あたりの肺腫瘍の発生数はそれぞれ69%, 0.88±0.72と 15%, 0.15±0.37であり、いずれもTSNOマウスに有意に多かった(P<0.05)。肝臓と肺のNQO-1 mRNA発現レベルはいずれもTSODとTSNOマウスの間に差は見られなかった。 これまでの研究から、TSODマウスの発がんpromotion期にはIGF-1やインシュリンが促進的に働くと考えられ、initiation期に感受性の差が生じていると予想される。今後、解毒や排泄に関る酵素の発現修飾を検討する必要がある。 また、肺腺癌細胞株(A549)を用いてPPARαアゴニストによる細胞増殖への影響を検討したが抑制効果は明らかでなかった。
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