2013 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性肺炎における窒素化ストレス及び新たな炎症性メディエーターの解明
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24591174
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
赤松 啓一郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (60405412)
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Keywords | 好酸球性肺炎 / 窒素化ストレス / サイトカイン / ケモカイン / 成長因子 |
Research Abstract |
本研究の目標は、好酸球性肺炎におけるNO 産生と窒素化ストレスの評価である。さらにCalvが好酸球性肺炎の活動性を評価するのに有益なマーカーになり得るかについての検討を行うことである。気管支肺胞洗浄液中の好酸球と呼気NO濃度の間に正の相関関係を認めた。気管支肺胞洗浄液中の好酸球とCalvの間に正の相関がある傾向がみられた。また、気管支肺胞洗浄液中の好酸球とJawの間に統計学的に有意な関係を認めた。しかし、その他のパラメーターであるCRPやSAA、総IgE、SPA、SPD、また肺機能検査の間には相関関係が見られなかった。このように呼気NO濃度の中枢気道由来の成分と末梢気道由来成分が好酸球性肺炎の活動性を評価するのに有益なマーカーになり得る可能性が示唆された。また、呼気NO濃度、Calvに関連し、我々は、ガイドライン治療にも関わらず気道炎症が遷延している喘息患者において、ステロイドによる治療強化は呼気NO及び呼吸機能を改善し、その両者の因果関係を示せたことから、ステロイドの治療強化は気道炎症が残存する喘息患者の病態を改善しうること(Respiratory Investigation 2013)、重症喘息において遷延していた呼気NO濃度上昇は70%の症例で低下したことより、ベースラインの末梢血好酸球数と呼気NO濃度がステロイド反応性の予測因子として有用であること(Allergology International 2013)、COPDにおいて、Calvは、健常者と比較して増加し、かつ末梢呼吸機能の指標であるdN2や肺拡散能と有意な相関があることが示されたことから、CalvがCOPDにおけるsmall airway dysfunctionのバイオマーカーとなりうる可能性(Clin Res Pulmonol 2013)を見いだし呼気NO濃度測定の臨床応用への更なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
びまん性肺疾患患者の検体の採取(血清、気管支肺胞洗浄液、呼気凝縮液)、呼気一酸化窒素の測定、呼吸機能検査などおおむね計画通り採取できている。これまでの検討で、好酸球性肺炎においてFENO、Calv ともに有意に高値を示し、BALf中に、iNOS 陽性細胞、3 -NT 陽性細胞が好酸球性肺炎患者では多くみられた。このことにより好酸球性肺炎では、肺末梢側におけるNO 産生と窒素化ストレスが増強していることが示唆された。昨年に引き続き、好酸球性肺炎については症例数が不足している。好酸球性肺炎の病態解明にはさらなる症例数の集積が必要となると考え、やや遅れていると評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年は最終年のため、好酸球性肺炎症例を追加し、学会発表、論文発表のためにまとめを行っていく。具体的には呼気凝縮液を採取し、炎症性メディエーターの測定を行う。呼気凝縮液はヨーロッパ呼吸器学会のクライテリアに従い、Eco-screen(Jaeger 社)を用いて採取する。アレイシステムを用いて同様に網羅的に検討する。得られた結果は、気管支肺胞洗浄液上清の結果と比較検討し、より低侵襲の検体採取法である呼気凝縮液採取の意義について検討する。上述した方法で同定された炎症性メディエーターはFENO、Calv との相関について検討を加える。さらに呼吸機能との相関を検討することで疾患の病態解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、当施設における現有の機器を用いることによって、施行することが可能であるため、新規の機材の購入費は計上しなかった。本研究の目的達成のため、好酸球肺炎、間質性肺炎患者からの血液、気管支肺胞洗浄液、呼気凝縮液を採取する。検体処理のための 試薬が必要なため予算を計上した。具体的には、各種一次抗体、呼気凝縮液採取関連経費、サイトカインアレイ試薬、ELISA kit であるが、検体数が予定数に達しなかったため、翌年に繰り越すこととなった。 本研究の目的達成のため、好酸球肺炎、間質性肺炎患者を更に集積して、血液、気管支肺胞洗浄液、呼気凝縮液を採取する。検体処理のための試薬が必要なため予算を計上した。具体的には、各種一次抗体、呼気凝縮液採取関連経費、サイトカインアレイ試薬、ELISA kit である。また、他の関連施設での症例に対応するため、NO測定器であるNIOX-MINOの購入を予定している。
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Research Products
(10 results)