2012 Fiscal Year Research-status Report
非喫煙者肺癌モデルを用いた有効な分子標的薬剤の選択と作用機序の解明
Project/Area Number |
24591182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
瀧川 奈義夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60325107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木浦 勝行 岡山大学, 大学病院, 教授 (10243502)
山根 弘路 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50624897)
多林 孝之 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60624898)
越智 宣昭 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80611615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | EGFR / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
非喫煙者肺腺癌の50-60%に上皮性成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異が認められる。これらの遺伝子は発癌と進展に関与しており、それらに対するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の臨床的有用性が示されてきた。しかしながら奏効期間は平均約1年で耐性となるため、新たな治療法の開発が望まれている。この耐性を打破するために本研究を考案した。 EGFR-TKIの耐性肺癌細胞株は、H1650 (EGFR exon 19欠失変異、かつPTEN欠損)、PC-9(EGFRexon 19欠失変異)を親株として樹立された2つの耐性株 RPC-9(T790M二次変異)とPC-9/ER3を用いた。動物実験として、異種移植およびEGFR遺伝子改変マウスモデルを用いた。薬剤は、mTOR阻害剤(エベロリムス)、JAK2/STAT3阻害剤(JSI-124)およびEGFR阻害と血管新生阻害作用を合わせもつバンデタニブを使用した。 肺癌細胞株におけるエベロリムスの抗腫瘍効果はPC-9およびRPC-9で同等であった。エベロリムスは、EGFR遺伝子改変マウスの肺腫瘍数を有意に抑制し、かつ生存期間を延長させた。PC-9/ER3ではJAK2の活性化が認められ、その阻害剤であるJSI-124とEGFR-TKIの併用によりPC-9/ER3のJAK2並びにAKTの活性化が抑制され、EGFR-TKIに対する感受性が回復した。また、PC-9/ER3のマウス移植モデルにおいても、JSI-124とEGFR-TKIの併用により腫瘍縮小効果も示された。一方、バンデタニブはH1650の移植モデルにおいて、そのEGFR-TKI耐性を克服であった。 以上より、EGFR-TKI耐性肺癌細胞株とマウスモデルにおいて、in vitroおよびin vivoでのmTOR阻害剤、JAK2/STAT3阻害剤および血管新生阻害剤の有効性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は計画どおり順調に進み、論文発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
mTOR阻害剤、JAK2/STAT3阻害剤および血管新生阻害剤が、なぜEGFR-TKI耐性の克服に有用であるかをin vitro、in vivoで証明し、耐性機序に合わせた薬剤投与が可能となるような基礎実験を、計画書に合わせて行っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験のマウスの購入が一部遅れて次年度使用額が生じた。平成25年度請求額と合わせて、試薬等実験用物品費中心、学会出張旅費・参加費、論文掲載・英文校正料として使用予定。
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Research Products
(3 results)