2014 Fiscal Year Annual Research Report
嚢胞性腎疾患の疾患モデル作製を目指したヒトiPS細胞から腎集合管への分化誘導
Project/Area Number |
24591195
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長船 健二 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (80502947)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 腎臓 / 尿管芽 / 中間中胚葉 / 集合管 / iPS細胞 / ES細胞 / ADPKD / ARPKD |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトES細胞(embryonic stem cell; 胚性幹細胞)やiPS細胞(induced pluripotent stem cell; 人工多能性幹細胞)から試験管内で腎細胞を選択的に分化誘導する方法は確立されていない。本研究の目的は、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD) や常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)など腎集合管に病変を生じる疾患に対する新規疾患モデルを作製するためにヒトiPS細胞由来「中間中胚葉」から胎生腎組織「尿管芽」を経て「集合管細胞」を分化誘導する方法を開発することである。H24年度に、増殖因子と化合物の組み合わせ処理を検討し、ヒトiPS細胞由来の中間中胚葉から20-30%程度の効率にて尿管芽マーカーSALL4陽性細胞を分化誘導する方法を開発した。また、SALL4のレポーターヒトiPS細胞株を樹立した。H25年度には、増殖因子と化合物の組み合わせ方法をさらに改良し、尿管芽細胞の分化誘導効率を50%以上に向上させる方法を開発した。H26年度には、作製した尿管芽細胞のマイクロアレイによる遺伝子発現解析や機能解析を行う予定であったが、新たに報告された腎臓発生の知見とH25年度までに確立した分化誘導法が一致しない点があることが判明したため、分化誘導法の改良を先に行った。そして、改良した分化誘導法でも尿管芽細胞が誘導され、その一部がさらに集合管のマーカー発現細胞に分化することを確認した。今後、ヒトiPS細胞から尿管芽細胞への分化誘導効率をさらに高める改良を続ける。また、誘導された尿管芽細胞のマイクロアレイによる遺伝子発現解析に加え、尿管芽由来器官への分化能やマウス胎児後腎間葉に対する誘導能を検証する。その後、ヒトiPS細胞由来の尿管芽から集合管細胞への高効率分化誘導法を確立し、ADPKDやARPKDなどの遺伝性腎疾患の患者由来iPS細胞を集合管に分化させることによって新規の腎疾患モデル作製を目指す。
|