2012 Fiscal Year Research-status Report
腎糸球体疾患におけるオートファジーの意義と分子制御機構の解明
Project/Area Number |
24591200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉山 斉 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60325090)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オートファジー |
Research Abstract |
オートファジーは酵母において発見された細胞の生存維持機構の一つでありオートファジー関連遺伝子群により制御されているが、ヒト腎糸球体疾患において生じるオートファジーとその病態形成に果たす意義については不明である。ヒト腎糸球体疾患におけるオートファジーとその関連分子発現の検討として、本年度は、電子顕微鏡を用いたオートファジー超微形態の同定を行った。腎生検組織(69例)の電顕観察による糸球体ポドサイトのオートファジー(細胞質内autophagosome, autophagic vacuole)を既報に従いType I/Type IIに分類し、その頻度を半定量化して検討を行ったところ、コントロール群では年齢に伴いポドサイトにおけるType II オートファジーの出現頻度が有意に増加した。微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)や膜性腎症などネフローゼ疾患ではIgA腎症やループス腎炎などの増殖性腎炎に対しオートファジーの出現頻度が高かった。MCNSでは蛋白尿が増加するに従いポドサイトにおけるType II オートファジーが増加する傾向が認められたが、他疾患では負相関した。以上の結果より、ヒト糸球体ポドサイトにおいて恒常的にある一定レベルのオートファジーが生じており年齢と共に増加すること、MCNSでは尿蛋白が多いほどオートファジーが多く認められ、他疾患とは別の制御機構が働いている可能性があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に加えて、オートファジー関連分子の検出(免疫組織染色、real-time PCR法)も行っており成果が出つつある状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファジー関連分子の検出(免疫組織染色、real-time PCR法)を進めると共にオートファジー(type I, type II)およびオートファジー関連分子蛋白および関連分子遺伝子発現と、原疾患(ネフローゼ症候群、IgA腎症、糖尿病性腎症)との関連性、病理組織障害スコア(糸球体硬化、足突起融合、細胞増殖、尿細管間質障害)、蛋白尿・アルブミン尿(g/日)、腎機能(eGFR)との相関について臨床病理学的な検討を行う。さらに、GFP-LC3トランスジェニックマウスを用いたオートファジー制御分子動態を解明する研究を行い、アドリアマイシン腎症ネフローゼモデル、STZ糖尿病性腎症モデルを作成して今後検討を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GFP-LC3トランスジェニックマウス(アドリアマイシン腎症ネフローゼモデル、STZ糖尿病性腎症モデル)を用いたオートファジー制御分子動態の解明の研究を行うために、実験試薬等に研究費を使用する予定である。尚、入荷までに時間を要する試薬について次年度に発注する予定としたため次年度使用額15,119円が生じている。
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