2013 Fiscal Year Research-status Report
腎糸球体疾患におけるオートファジーの意義と分子制御機構の解明
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24591200
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉山 斉 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60325090)
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Keywords | オートファジー |
Research Abstract |
オートファジー(Autophagy)は酵母において発見された細胞の生存維持機構の一つである。腎構成細胞や動物実験モデルでの報告は増加しているが、ヒト腎疾患におけるAutophagyの意義については明らかではない。本年度は、ヒト腎組織を電子顕微鏡で評価し腎疾患の進展におけるAutophagyの意義を明らかにする目的で以下の検討を行った。電子顕微鏡で腎生検組織126例 (MCNS:38例、膜性腎症:32例、IgA腎症:21例、ループス腎炎10例、その他:25例)のPodocyteでのAutophagyを観察し、その頻度を半定量化する事により臨床検査データとの検討を行った。年齢に伴いPodocyteのAutophagyの増加が見られた (p = 0.0049)。MCNSにおいては足突起融合率 (r = -0.477、p = 0.002)、蛋白尿 (r = 0.410、p = 0.013)と有意な相関が認められた。疾患別でみると、膜性腎症や MCNSではIgA腎症やループス腎炎など増殖性疾患に比しAutophagyの出現が有意に増加していた(p = 0.037)。以上の結果より、腎組織において恒常的にある一定レベルのAutophagyが生じているが、糸球体ではPodocyteに出現頻度が高い。MCNSではPodocyteのAutophagyと尿蛋白、足突起癒合率が相関している事が示された。PodocyteのAutophagy誘導機構と足突起融合機序の連関を更に解明することが重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に加えて、糖尿病性腎症におけるオートファジーやその関連分子の検出(免疫組織染色、real-time PCR法)を行っており成果が出始めた状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病性腎症におけるオートファジーやその関連分子の検出(免疫組織染色、real-time PCR法)に加えて、カタラーゼ欠損マウスを用いた酸化ストレスによるオートファジー分子制御機構の解明(STZ糖尿病性腎症モデル、進行性糸球体硬化5/6腎摘モデル)について今後研究を推進する予定である。
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