2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞を用いたエリスロポエチン産生細胞の検討
Project/Area Number |
24591204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
人見 浩史 香川大学, 医学部, 助教 (70346641)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 移植・再生医療 / エリスロポエチン / 腎性貧血 / 再生医学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、iPS細胞技術を利用し、iPS細胞から分化誘導したエリスロポエチン産生細胞を生体に移植することによって、腎性貧血の生理的な改善を可能にすることである。平成24年度は、ヒトiPS細胞からエリスロポエチン産生細胞を分化誘導する技術を確立し、分化した細胞が発現するエリスロポエチンについて評価・検討することを計画していた。研究の結果、ヒトiPS細胞に種々の刺激を加えることで、エリスロポエチン産生細胞を分化誘導することに成功した。産生細胞の培養液または細胞溶解液のエリスロポエチン発現を、PCR、Western blot法、ELISAを用いて確認したところ、分化誘導されたエリスロポエチン産生細胞は、ヒトエリスロポエチンをmRNAおよび蛋白質レベルで発現していた。また産生されたエリスロポエチンは細胞培養液中に分泌され、生体内と同様に低酸素下で培養すると、エリスロポエチン分泌はさらに増加していた。ヒトiPS細胞からエリスロポエチン産生細胞を分化誘導したという報告は、私が検索した限りこれまでない。そのため、平成24年度の研究成果で確立したエリスロポエチン産生細胞の分化誘導法は、基礎研究においてはエリスロポエチン産生・分泌の機序解明に大きく貢献すると考えられ、また臨床応用としては、渇望されるヒトiPS細胞を用いた生理的な腎性貧血治療の可能性を示唆した。現在、産生されたエリスロポエチンの機能評価と、iPS細胞から分化誘導したエリスロポエチン産生細胞を生体に移植すること目的に研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定していた研究内容については、ほぼ全て終了しており、概ね予想された結果を得ることができた。得た知見を参考にし、また測定系などを流用し、平成25年度に計画している研究内容に関しても、一部予備実験を開始し、既に準備を行っている。現時点では、研究計画の立案に際し、問題となると予想された点についても順調に遂行できている。そのため交付申請書に記載された研究目的に対する達成度としては、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究計画に関しては、おおむね順調に推移している。平成25年度以降は、ヒトiPS細胞から分化誘導したエリスロポエチン産生細胞の機能評価と、モデル動物への移植実験を計画している。機能評価としては、平成24年度に構築したシステムを利用し、既に予備実験を開始している。予備実験から得られた結果からは、分泌されたエリスロポエチンは十分な機能を有していることを示唆している。この予備実験結果の確証を得るように平成25年度は研究を継続して行う。研究を遂行する上で課題が生じた場合には、研究計画書に挙げた対策に沿って研究を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は産生されたエリスロポエチンが生理的な機能を有するか確認することを目的にしている。そのため血球分化の標準的評価法であるコロニーアッセイを用いて、骨髄前駆細胞にエリスロポエチン産生細胞溶解液や培養液を反応させ、赤血球系譜に効率よく分化を誘導するかを評価する。臨床で用いられているエリスロポエチン製剤と比較し、力価の強いエリスロポエチンを分泌させる条件を検討することも予定している。 平成25年度は、これらの実験を効率よく行うために、設備備品としてスペクトロフォトメーター(Bio-Rad 170-2525)を購入予定である。また測定に必要である試薬や抗体、実験消耗品の購入も予定している。予備実験の結果からは、申請した予算で研究を遂行できるものと考えている。
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[Journal Article] Renal sympathetic denervation suppresses de novo podocyte injury and albuminuria in rats with aortic regurgitation.2012
Author(s)
Rafiq K, Noma T, Fujisawa Y, Ishihara Y, Arai Y, Navi AHMN, Suzuki F,Nakano D, Hitomi H, Kitada K, Urushihara M, Kobori H, Kohno M, Nishiyama A.
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Journal Title
Circulation.
Volume: 125
Pages: 1402-1413
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] N-type calcium channel inhibition with cilnidipine elicits glomerular podocyte protection independent of sympathetic nerve inhibition.2012
Author(s)
Lei B, Nakano D, Fujisawa Y, Liu Y, Hitomi H, Kobori H, Mori H, Masaki T, Asanuma K, Tomino Y, Nishiyama A.
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Journal Title
J. Pharmacol. Sci.
Volume: 119
Pages: 359-367
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Oxidative stress-induced glomerular mineralocorticoid receptor activation limits the benefit of salt reduction in Dahl salt-sensitive rats.2012
Author(s)
Kitada K, Nakano D, Liu Y, Fujisawa Y, Hitomi H, Shibayama Y, Shibata H, Nagai Y, Mori H, Masaki T, Kobori H, Nishiyama A.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 7
Pages: e41896
DOI
Peer Reviewed
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