2014 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼおよび酸化ストレスによるヴィシャスサイクルメカニズムの解明
Project/Area Number |
24591207
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
白石 直樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (40423660)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セリンプロテアーゼ / プロスタシン / 線維化 / 酸化ストレス / 腎不全 / 糖尿病 / インスリン抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年度、慢性腎不全モデルに合成セリンプロテアーゼ阻害薬であるcamostat mesilate(CM)を投与し、セリンプロテアーゼが線維化の促進を介して腎不全を進行させている可能性を示した。セリンプロテアーゼの腎線維化における役割を詳細に検討するために、尿細管間質の線維化モデルである慢性片側尿管結紮(UUO)ラットを用いてCMの効果を検討したところ、CM投与群では優位に腎線維化が改善した。その機序としては、CMはマクロファージ浸潤やTGF-β産生ではなく、線維芽細胞におけるTGF-β受容体活性化あるいはそれ以降のシグナリングを抑制することにより腎線維化を抑制していた。驚くべきことに、このCMの腎線維化抑制作用は、UUO作成後7日目にCM投与を開始した群、すなわちある程度腎線維化が進行した群においても効果を示し、CMが実臨床においても腎不全に対する新しいクラスの薬剤となる可能性が示された(Am J Physiol F173-181, 2013)。 また、我々は、セリンプロテアーゼの一つであるプロスタシンが肝臓に多く発現していることに着目し、肝臓におけるプロスタシンの生理的役割を検討した。肥満により肝プロスタシンの発現は低下する。肝臓特異的にプロスタシン遺伝子を欠損させたマウスは糖尿病を発症したが、その機序として、プロスタシンはリポ多糖(LPS)の受容体であるToll様受容体4(TLR4)を切断することにより肝臓に過度な炎症が生じることを抑制する生理的役割を持っており、プロスタシン欠損により肝臓に炎症が生じてインスリン抵抗性が低下し、糖尿病発症につながることが分かった。肝プロスタシンの発現低下が、肥満における糖尿病発症において重要な役割を果たしていることが解明されたという点において、臨床的にも非常に重要な発見となった(Nat Commun, 2014)。
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