2012 Fiscal Year Research-status Report
ES/iPS細胞の腎尿細管への分化誘導系を用いた腎疾患進展機構の解明
Project/Area Number |
24591211
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
門川 俊明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80286484)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 腎臓 / 尿細管 / 再生医学 / ES細胞 / iPS細胞 |
Research Abstract |
我々は、これまでマウスES細胞を用いて胚様体を介した分化誘導を行い、誘導因子としてActivin 10ng/mlを分化初期から培養18日目まで加えることによって、尿細管上皮細胞のマーカーであるKSPの発現が非常に高値になることを報告した(Morizane, Biochem Biophys Res Commun, 2009)。しかし、Flow cytometryで検討してみると、KSP陽性細胞は全細胞数の1-5%程度であり、これを濃縮する必要があると考えた。そこで、独自に、KSPの細胞外ドメインを抗原とするモノクローナル抗体を作製し、抗KSPモノクローナル抗体を用いたFlow cytometryによってKSP陽性細胞を分取する方法を開発した。Flow cytometryで選別してきた細胞は、AQP2などの尿細管マーカーを発現するとともに、マトリゲル上で、管腔形成傾向を示すなど、腎臓尿細管上皮細胞であると考えられた。 しかし、本分化誘導方法には、いくつかの課題が残っていた。一つには、分取できる細胞数が必ずしも多いとは言えないという点である。そのため、Flow Cytometryをおこなう前に、さらに、KSP陽性細胞率を上げる必要があった。今回、Activinに加え、IGFやHGFなどの成長因子を種々の濃度で添加することによって、Activinに加え、IGFを添加することで、KSP陽性細胞率を上げることができるという結果が得られた。また、分取した細胞がマトリゲル上で管腔形成傾向を示していたが、その効率が十分ではなかったので、Wnt4を発現する線維芽細胞上で分取した細胞を培養することによって、管腔形成効率を著しく改善することが出来た。 以上より、マウスES細胞からの尿細管細胞への分化誘導方法が確立できたと考え、論文投稿をおこなった(リバイス中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスES細胞から尿細管細胞への分化誘導方法については順調に進み、論文投稿まで進めた。現在、リバイスの最中であり、追加実験をおこなっている。また、特許に関しては、JSTの補助を受け、国際特許を申請した。 ヒトES細胞から尿細管細胞への分化誘導方法とmicro RNAを介した腎尿細管障害の抑制については、まだ、十分な成果が得られていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスES細胞の研究成果を論文化する。今後は、ヒトES細胞から尿細管細胞への分化誘導方法に重点を移していく。また、micro RNAを介した腎尿細管障害の抑制についての研究も加速する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画については、当初の予定通り進める。
|
Research Products
(2 results)