2013 Fiscal Year Research-status Report
ES/iPS細胞の腎尿細管への分化誘導系を用いた腎疾患進展機構の解明
Project/Area Number |
24591211
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
門川 俊明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80286484)
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Keywords | 腎臓 / 尿細管 / 再生医学 / ES細胞 / iPS細胞 |
Research Abstract |
マウスES細胞から腎臓尿細管細胞の分化誘導系が確立したので、ヒトES細胞を用いた分化誘導方法の開発をおこなった。マウスと同様にヒトでもKSPを指標として誘導をおこなったが、マウスに比べて、KSPの発現は大幅に低かった。ヒトでは誘導に時間がかかるため、GSK-3β阻害剤を用いて中間中胚葉への分化誘導をおこなった。このように、マウスとヒトとでは誘導方法、効率も大きく異なることが判明した。我々が作成した抗KSP抗体はヒトKSPも認識することがわかり、マウスと同様に抗KSP抗体を用いたフローサイトメトリーでKSPを発現する細胞を分取することが可能であり、ヒトES細胞からのKSPを指標とした誘導方法が確立できたと考えられたので、現在、論文にまとめ、投稿中である。 我々は、予備実験において、マウスの尿管閉塞モデルと、近位尿細管細胞株を用いたTGFβによるEMTモデルを用いて、マイクロアレイを用いた網羅的なmiRNAの発現解析から、EMTに関連するmiRNAを検討した。その結果、miR-181b、miR-125b、miR-30e、miR-34c、miR-680、miR-1224がEMTに関連している事が分かった。これらmiRNAのうち、miR-34cが近位尿細管細胞株を用いたin vitroの実験においてTGFβによるEMTを抑制することを発見した。さらに、片側尿管結紮モデルを用いた実験においても、miR-34-cの投与は、腎繊維化を有意に抑制することが明らかとなった。本研究結果をまとめ、Scientific Reportsに投稿し、論文が受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトES細胞を用いた尿細管細胞への分化誘導は一定の成果をまとめることができ、現在、論文にまとめ、投稿中である。 micro RNAを介した腎尿細管障害の抑制に関しては、miR-34cによるEMT抑制を明らかにすることができ、本研究結果をまとめ、Scientific Reportsに投稿し、論文が受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトES細胞からの尿細管細胞への誘導は、効率面ではまだ十分ではなく、改善が必要と考えられる。 腎尿細管障害の抑制に関与するmiRNAは他にも見いだしており、その候補についても今後検討を進めていく。
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Research Products
(4 results)