2013 Fiscal Year Research-status Report
高血圧の中枢性機序における骨髄由来細胞の役割の検討
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24591232
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山里 正演 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90347138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 明夫 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (10343378)
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Keywords | 高血圧 / アンジオテンシンII持続投与高血圧ラット / 中枢性血圧調節 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / 脳室内投与 / ACE2 |
Research Abstract |
「脳への骨髄由来細胞の分布不全が脳内レニン-アンジオテンシン系(RAS)および酸化ストレスの抑制不全を引き起こし中枢性機序として高血圧の病態に関連している」という仮説のもと実験を行い、骨髄由来細胞の脳室内自家移植はAng II持続投与による交感神経活動の亢進をおさえ血圧上昇を抑制すること、また、骨髄由来細胞から分泌された液性因子がAng IIの交感神経活動亢進作用に拮抗した可能性が考えられる結果を得た。平成25年度は主にその作用機序を調べるため、使用した骨髄由来細胞の性質について検討を進めた。 脳室内投与実験で用いた細胞と同じ条件で骨髄由来細胞の培養を行った。ラット腸骨を穿刺し骨髄液を採取した。赤血球を除去後プラスチックの培養皿に細胞をまき、付着した細胞を3週間培養した。培養液は10%FBSを含むDMEMを用いた。採取検体の約6割で細胞数が100万個以上に増え、3継代目の細胞を実験に用いた。培養骨髄由来細胞は間葉系幹細胞のマーカーのCD29と内皮のマーカーであるvWF、VEGFR2が陽性であった。また、一部の細胞にαSMアクチン共陽性を認めた。骨髄由来細胞のパラクリン作用を確認するため、骨髄由来細胞の培養上清を用い培養内皮細胞の増殖をみる実験を行った。培養内皮細胞への骨髄由来細胞培養上清の添加は内皮細胞培養上清の添加に比べ内皮細胞のBrdUの取り込みを52%増やした。また、RASの調節酵素であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)とACE2の蛋白発現を調べた。骨髄由来細胞は内皮細胞に比べACEの発現が少なく、ACE2の発現が多いことがわかった。以上から、使用した骨髄由来細胞はパラクリン作用をもち抗炎症作用をもつとされる間葉系幹細胞を含み、ACE/ACE2比が低く局所RASに対し抑制的に働く可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「脳への骨髄由来細胞の分布不全が脳内RASおよび酸化ストレスの抑制不全を引き起こし中枢性機序として高血圧の病態に関連している」という仮説のもと、骨髄由来細胞は高血圧の中枢性機序を改善しうるか?という疑問点に対し、培養骨髄由来細胞の性質について検討を進めた。従来の骨髄由来細胞の報告の再現データを含め、RASを調節しうる可能性を示唆する結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、中枢性機序による高血圧モデルであるAng II持続投与高血圧ラットでは、骨髄由来細胞の脳内分布増加が血圧上昇を抑制する可能性、および、骨髄由来細胞は高血圧の中枢性機序を抑制しうる可能性を示唆する結果を得ることができた。今後はAng II持続投与以外の中枢性機序による高血圧モデル動物および骨髄由来以外の間葉系幹細胞でも同様の抑制効果が確認できるか検討する必要があると考えられた。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は培養細胞の実験が中心であったため、76,645円の差額が生じた。 Ang II持続投与以外の中枢性機序による高血圧モデル動物および骨髄由来以外の間葉系幹細胞でも同様の抑制効果が確認できるかの検討を開始する。最終年度になるため、これまでの成果のまとめおよび論文の仕上げに必要な追加実験、および成果発表に使用する。
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Research Products
(3 results)