2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病におけるカルシウム代謝異常と線維化の新規可視化手法の確立
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24591237
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
須田 廣美 (木村 廣美) 千歳科学技術大学, 総合光科学部, 教授 (00574857)
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Keywords | 慢性腎臓病 / カルシウム代謝 / 赤外イメージング / ラマンイメージング / 安定同位体 / 同位体顕微鏡 / 繊維化 / 異所性石灰化 |
Research Abstract |
本研究は、カルシウム(Ca)安定同位体を一定期間食餌性に摂取させた (CKD)モデルラットの腎臓、骨、心臓、肺、脳、肝臓、血管、腸管、糞尿について同位体顕微鏡観察、顕微ラマンイメージング測定、赤外イメージング測定を行い、病態を可視化、解析する新規可視化手法を確立し、異所性石灰化と組織の繊維化の関連について検討することを目的としている。CKDモデルラットの作製は5/6腎摘出(5/6-Nx)法を検討したが、末期におけるCa代謝をモニタしている途中でラットが死に至る可能性が高いことから、4/5腎摘出(4/5-Nx)ラットCKDモデルを作製し、Ca安定同位体を投与した。5/6-Nx、4/5-Nx、Shamラットから摘出した腎臓、心臓(左心室)、大腿骨、肝臓について光学顕微鏡、赤外イメージング、顕微ラマン、元素イメージング、同位体顕微鏡を用いた比較検討を行った。その結果、5/6-Nx、4/5-Nxの腎臓では肥大とリン酸の蓄積が認められ、Ca沈着も観察された。また、左心室の肥大も観察されたが、4/5-Nxでは5/6-Nxで認められたような過剰なリン酸とそれに伴うCa沈着は確認できなかった。5/6-Nx では一部繊維化も確認している。5/6-Nx、4/5-Nxの大腿骨では海綿骨と骨端で著しい骨吸収が認められ、部位による骨代謝回転の違いが示された。石灰化度、炭酸塩含有率を調べた結果、5/6-Nxにおいて著しい減少が確認され、骨吸収の程度はCKDレベルに依存し、高代謝回転骨ではリン酸塩に比べて炭酸塩が先に溶け出していることが明らかとなった。一方、Ca安定同位体分布から、CKD末期においても日々骨形成が行われていることが示され、形成時を特定することができた。骨コラーゲンの二次構造を調べた結果、CKDとShamでは異なることが示された。尚、肝臓については、大きな変化が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、Ca安定同位体を一定期間食餌性に摂取させた CKDラットの腎臓、骨、心臓、肺、脳、肝臓、血管、腸管、糞尿について同位体顕微鏡観察、顕微ラマンイメージング測定、赤外イメージング測定を行い、病態を可視化、解析する新規可視化手法を確立し、異所性石灰化と組織の繊維化の関連について検討することである。既に腎臓、骨、心臓、肝臓については可視化ならび解析を行い、同位体顕微鏡、顕微ラマンイメージング、赤外イメージングを用いた病態の新規可視化手法を確立した。成果については学会発表、論文投稿を行い、特許出願の準備も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、腎臓、骨、心臓、肝臓の他、肺、脳、血管、腸管の病態を可視化、解析することで異所性石灰化と組織の繊維化の関連について検討する予定であった。しかし、これまでの実験において、4/5-Nxでは十分な石灰化が観察されなかったことから、肺、脳、血管、腸管については測定を中止した。尚、肺、血管、腸管については予備実験を行ったが、試料作製が難しく、試料調整方法によって結果が異なった。そこで、26年度は試料調整方法の確立に重きを置き、その標準化を行いたいと考えている。また、CKDにおけるコラーゲンの二次構造変化を確認することができたので、繊維化の計測方法について検討する予定である。成果については、学会発表、論文投稿を逐次行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
FTIRイメージング測定に使用する窓板を購入する予定であったが、他の予算を使って窓板を購入したために次年度使用額が生じた。 FTIRイメージング測定を行う学生のアルバイト料として使用する予定である。
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[Journal Article] Retention of Fetuin-A in Renal Tubular Lumen Protects the Kidney from Nephrocalcinosis in Rats2013
Author(s)
I. Matsui, S. Mikami, K. Inoue, A. Shimomura, Y. Nagasawa, T. Michigami, T. Ohnishi, N. Fujii, C. Nakano, Y. Kusunoki, H. Kitamura, H. Iwatani, Y. Takabatake, J. Kaimori, G. Matsuba, K. Okoshi, H. Kimura-Suda, Y. Tsubakihara, H. Rakugi, Y. Isaka
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Journal Title
Am J Physiol Renal Physiol
Volume: 304
Pages: F751-F760
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Characterization of Bone Mineralization in a Rat Model of Chronic Kidney Disease2013
Author(s)
Hiromi Kimura-Suda, Kyosuke Kanazawa, Sachio Kobayashi, Mieko Kuwahara, Teppei Ito, Naoya Sakamoto, Makoto Kajiwara, Hideyuki Yamato, Kuniharu Ijiro, Hisayoshi Yurimoto
Organizer
ASBMR 2013 Annual Meeting
Place of Presentation
Baltimore Convention Center (Baltimore, MD, USA)
Year and Date
20131004-20131007
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