2013 Fiscal Year Research-status Report
電気透析と人工分子シャペロンを組合せたアルブミン結合毒素除去によるアルブミン再生
Project/Area Number |
24591238
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小久保 謙一 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (20287965)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 弘祐 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (70153632)
|
Keywords | アルブミン結合毒素 / 効率的除去 / インドキシル硫酸 / リフォールディング |
Research Abstract |
本研究では、タンパク結合毒素のタンパク質と毒素の結合を外し、毒素を除去してタンパク質を再生するシステムを開発するために、1)アルブミン結合毒素の効率的な除去、2)ナノゲル人工分子シャペロンによるアルブミンの再生、3)マウスを用いた安全性と短期的な治療効果について検討することを目的とした。 1)においては、尿素を用いてアルブミンを変性させることで、アルブミン結合毒素を効率的に除去できることを明らかにした。その際、アルブミンとインドキシル硫酸の吸着挙動についても検討し、アルブミンとインドキシル硫酸の吸着等温線を作成し、その吸着動態を明らかにした。尿素を用いた変性により、アルブミン結合毒素とアルブミンの吸着平衡が移動し、それにより結合毒素が除去しやすくなっていることを明らかした。また、当初予定していた電気透析を使用しなくても十分な除去効率が得られることも明らかにできた。 2)のアルブミン再生の検討はまだこれからであるが、アルブミンを大きく変性させない尿素を用いて効率的な分離・除去が可能であることが分かったことから、アルブミン再生についても、取り扱いの難しいナノゲルを使用しなくても、親水性のマイクロ微粒子を使用することで、実現できる可能性が高くなった。 3)のマウスを用いた安全性と(短期的な)治療効果の検討については、予備的な検討を行い、マウスでは、体外循環させる血液量が実験を行うのに不十分であることが明らかとなった。動物をラットに変えて、体外循環を行える実験系を確立した。今後は、この実験系を用いて、安全性と短期的な治療効果を検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尿素を用いることでアルブミン結合毒素の効率的な除去が可能になることが明らかにできた。また、当初実験予定ではなかったが、アルブミンとインドキシル硫酸の吸着挙動を明らかにする必要も出てきたため、それについても検討した。これらの検討により、アルブミン結合毒素とアルブミンの吸着平衡を移動させ、結合毒素を除去しやすくすることが可能となることがわかった。また、当初予定していた電気透析を使用しなくても十分な除去効率が得られることも分かった。アルブミン再生の検討はまだこれからであるが、アルブミンを大きく変性させない尿素を用いて効率的な除去が可能であることが分かったことから、取り扱いの難しいナノゲルを使用する必要は無く、親水性のマイクロ微粒子の充填カラムを用いればよいと考えられた。若干予定よりも遅れているが、研究の見通しも付いており、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
尿素を用いることでアルブミン結合毒素の効率的な除去が可能になることが明らかとなった。当初は電気透析を組み合わせることで結合毒素の効率的な除去が必要と考えていたが、実際には、透析のみで十分に除去可能であることが分かった。尿素の最適濃度をアルブミン再生の実験結果も踏まえながら決定する。 また、アルブミン再生については、取り扱いの難しいナノゲルを使用する必要は無く、親水的な雰囲気が作れればよいと考えられたため、マイクロ微粒子を充填したカラムを用いることとし、今後の検討を進める。 マウスを用いた安全性と短期的な治療効果の検討については、動物種をラットに変更し、ラットにて確立できた体外循環モデルを用いて行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の進捗は、おおむね順調であるが、若干遅れている実験があり、その分の費用が未使用となっている。 予定通りの実験を進めることで、計画通りに使用される予定である。
|
Research Products
(2 results)