2013 Fiscal Year Research-status Report
筋萎縮性側索硬化症の細胞群別の分子病態の網羅的解明
Project/Area Number |
24591259
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 博史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60402913)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / マイクロアレイ / 自然免疫 / ミクログリア / アストロサイト |
Research Abstract |
孤発性ALS患者脊髄(n=4)とコントロール脊髄(n=5)からmRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ(Affymetrix社Human Genome U133 Plus_2.0 Array)を用いてALS患者で変動している遺伝子を抽出した。変動遺伝子の抽出に当たっては、バックグラウンドシグナルに近い低発現遺伝子を除去して1.8倍以上の変動示す遺伝子を抽出した後、t検定により孤発性ALSの脊髄で有意(p<0.05,多重検定補正あり)に変動している197個の遺伝子を選び出した。この段階では変動遺伝子が脊髄を構成する細胞種(主なものとして神経細胞、アストロサイト、マイクログリア、オリゴデンドロサイト)のうち、どの細胞種によく発現していてmRNAの変動がどの細胞種の関与によるかは明らかではないため、同じ哺乳類であるマウスのorthologueの細胞種ごとの相対的発現レベルがわかるトランスクリプトームを一部データベースを利用して作成した。解析に用いるAgilent社のGeneSpring_GXによりマウスとヒト間での相同遺伝子の変換が可能なため、トランスクリプトームを用いることにより、ALS患者脊髄のmRNAの変動が、主にどの細胞種の関与によるものかを推定することが可能となった。その結果孤発性ALSの脊髄で変動している197遺伝子のうち、対応するマウスのorthologueがない24遺伝子を除いた173遺伝子のうち61遺伝子はミクログリアに、22遺伝子はアストロサイトにより豊富に発現する遺伝子であることが判明した。ミクログリアで豊富に発現する変動61遺伝子をIngenuity Pathway Analysisにより解析を行うと、免疫系・パターン認識受容体等のpathwayが有意に変動していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALSとコントロール患者の脊髄を用いてマイクロアレイを行い、病巣において有意に変動しているpathwayの解析が終了した。解析結果をもとに、自然免疫に関与する鍵分子の遺伝子改変マウスを用いた実験を施行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析により判明したALS患者で重要と考えられるpathwayにつき、自然免疫に関与する鍵分子の遺伝子改変マウスを用いて、SOD1マウス(ALSモデルマウス)との交配実験によりin vivoでの生物学的意義を解明する。
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