2012 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化危険因子による脳小血管内皮細胞の接着機構障害とその機序の解明
Project/Area Number |
24591260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木田 佳樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20403066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 一夫 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70301257)
大山 直紀 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (90622895)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血管内皮細胞 / 血液脳関門 |
Research Abstract |
脳血管内皮細胞の接着を担うVE-cadherinに注目して、脳虚血病態における接着活性の動態について検討を行った。局所脳虚血再灌流モデルの虚血領域において、血管内皮機能を内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の状態で評価した。eNOS蛋白の発現は保持されていたが、リン酸化低下、単量体増加が認められ、eNOS 機能障害の存在が示唆された。次にVE-cadherinの発現を本モデルで検討すると、虚血24時間後まではその発現量は変化がなかった。VE-cadherinの接着活性を制御する分子群のうち、脳実質内において血管内皮細胞に選択的に発現しているIQGAP1に注目し、cadherin-catenin系との相互作用を検討した。IQGAP1は正常脳および脳虚血24時間後までは血管内皮細胞にほぼ限局して発現していたが、その後は活性化ミクログリア、マクロファージといった炎症系細胞に異所性の発現が観察された。以上の結果から少なくとも虚血後24時間までは、両分子とも血管内皮細胞内の現象を反映していると考え、免疫沈降法を用いた検討を行った。正常脳においてもβ-cateninとIQGAP1の相互作用は観察されたが、虚血脳においてはこの相互作用が増強されていることが観察された。これらのことから脳虚血後、VE-cadherinの発現量自体は減少しないが、関連分子との相互作用によりその接着活性は減弱していることが示された。次に本評価系を用いて、動脈硬化危険因子である高血圧の影響を検討した。高血圧モデルである自然発症高血圧ラットの脳組織ではIQGAP1の発現が亢進しており、脳血管内皮細胞の接着活性を抑制している可能性が示された。またin vitroの評価系としてヒト脳微小血管内皮細胞培養系およびペリサイト培養系を確立した。今後これらの系においても細胞接着関連分子の動態について検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管内皮細胞の細胞接着に脳虚血、および動脈硬化危険因子がどのような影響を与えるか検討することが本研究の目的である。平成24年度は評価系の確立を行う予定であったが、これについて細胞接着を担う主役であるVE-cadherinだけではなく、その関連因子IQGAP1との相互作用をみることで接着活性を推定しうるという結果を得ている。また高血圧モデルである自然発症高血圧ラットの脳実質内において、IQGAP1が高発現しているというデータを得ている。高血圧が脳血管内皮細胞の接着活性に影響していることを示唆する所見と考え、今後そのメカニズムについて検討していく予定である。さらにin vitroの評価系としてヒト脳微小血管内皮細胞培養系および血管周皮細胞(ペリサイト)培養系を確立した。以上のことから次年度への研究に問題なく進むことが可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記にて確立した評価系を用いて、脳虚血、高血圧、糖尿病の各モデル動物の脳実質内小血管の血管内皮細胞接着機構の状態について検討を行っていく。また細胞培養系を用いて血管内皮細胞とペリサイトの相互作用についても検討を行っていく。ペリサイトは血管内皮細胞の接着活性に大きな影響を与えることが分かっている。血管内皮細胞とペリサイトはやはりcadherin-catenin系により細胞接着機構を共有しており、なんらかのシグナル伝達が両細胞間で行われているものと考えられる。その意義を遺伝子発現、蛋白発現の面から検討を行う。この目的のために血管内皮細胞とペリサイトの混合培養系を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)