2012 Fiscal Year Research-status Report
ドーパミン神経特異的なαシヌクレイン修飾と新規パーキンソン病治療ターゲット
Project/Area Number |
24591262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中曽 一裕 鳥取大学, 医学部, 講師 (30379648)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / α-synuclein / 翻訳後修飾 / ドーパミン / カテコールアミン |
Research Abstract |
パーキンソン病(PD)は病理学的には“①中脳黒質ドパミン(DA)神経の変性脱落”,“②α-synuclein(αsyn)を主要構成成分とするLewy小体の出現”を特徴とする.PDの病態には遺伝的要因と環境的要因の両者が関与するとされ,前者の代表的なものとして,αsyn遺伝子の点変異やαsyn遺伝子領域の重複による遺伝性PDが知られている.さらにαsynは遺伝性PDのみならず,一般的な弧発性PDにおいてもLewy小体形成という点で病態に深く関与しており,PDの病態を把握する上で最も重要な分子といえる. αsynが関与するPD病態において,αsynの過剰発現状態がDA神経特異的な病理変化をもたらす理由についてDA神経特異的な翻訳後修飾の観点から検討した.αsynはC末端近く翻訳後修飾により可溶性オリゴマー形成が促進され細胞毒性に働くという報告があり,PDにおけるαsyn関連病態にはDAをはじめとするカテコールアミン(CA)によるαsyn修飾があると仮説を立てた.これを明らかにするために,薬剤で発現量を調節可能なPC12-αsyn-TetOFF細胞(wild,M116A,Y125D,M127A,S129A,M116A/M127A),およびPC12-βsyn-TetOFF(wild)を構築し,DA神経特異的な翻訳後修飾と細胞毒性についての研究を行った. その結果,DAをはじめとするCA存在下では,αsyn内メチオニンの酸化修飾(メチオニンスルホキシド)を生じやすく,特に127番メチオニン残基がその主要な酸化ターゲットであること,周辺の125番チロシン残基,129番セリン残基は間接的に127番メチオニン残基のCA依存的な酸化修飾を促進することを明らかにした,さらに,本修飾がαsyn重合化および細胞毒性のトリガーとなることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請に必要なモデル細胞を既に構築し,DAをはじめとするCA存在下におけるαsyn翻訳後修飾と細胞毒性機序について検討し,メカニズムを明らかにした. その結果につき,学会発表・論文発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
細胞毒性メカニズムが明らかになったため,それを治療ターゲットとして捉え,回避する方法を探索する. 既存の薬剤やポリフェノール類を中心にスクリーニングする予定である. また,個体レベル(マウス)による同メカニズムの存在の有無を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)