2013 Fiscal Year Research-status Report
ドーパミン神経特異的なαシヌクレイン修飾と新規パーキンソン病治療ターゲット
Project/Area Number |
24591262
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中曽 一裕 鳥取大学, 医学部, 准教授 (30379648)
|
Keywords | パーキンソン病 / α-synuclein / 翻訳後修飾 / ドパミン / カテコールアミン |
Research Abstract |
パーキンソン病(PD)は “①中脳黒質のドパミン(DA)神経の変性脱落”,“②α-synuclein(αsyn)を主要構成成分とするLewy小体の出現”を病理学的特徴とする.PDの病態には遺伝的要因と後天的要因の両者が関与するとされ,前者の代表的なものとしてαsyn遺伝子の点変異や同遺伝子領域の重複による遺伝性PDが知られている.さらにαsynは前述の遺伝性PDのみならず,一般的な弧発性PDにもLewy小体形成という点で病態に深く関与しており,PD病態を把握する上で最も重要な分子といえる. PD関連病態において,αsynの過剰発現状態がDA神経特異的な病理変化をもたらす理由についてDA神経特異的なタンパク質翻訳後修飾の観点から検討した.PDにおけるαsyn関連病態にはDAをはじめとするカテコールアミン(CA)によるαsyn修飾があると仮説を立て,これを明らかにする為に,薬剤で発現量を調節できるPC12-αsyn-TetOFF細胞を構築し,DA関連翻訳後修飾と細胞毒性の研究を行った. これまでに CA存在下では,αsynメチオニンの酸化修飾(メチオニンスルホキシド)を生じやすく,特に127番メチオニン残基がその主要な酸化ターゲットであること,周辺の125番チロシン残基,129番セリン残基は間接的に127番メチオニン残基のCA依存的な酸化修飾を促進することを明らかにし,これがαsyn重合化および細胞毒性のトリガーとなることを明らかにした. さらにメラトニン,セロトニン,ポリフェノール類(クロロゲン酸,アスパラチン,他)がこのαsyn酸化修飾を軽減することで,細胞保護的に作用することを見出した. また,酸化メチオニン還元酵素A(メチオニンスルホキシド還元酵素:MsrA)がCA存在下でαsynと結合していることから,MrsAの活性化も新規治療ターゲットとなりうると考えられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の,「モデル細胞構築」と「ドパミン存在下におけるαsynの毒性機序解明」に続き,それをターゲットとした細胞保護成分の検索と,そのメカニズム検討を行えたため. また,酸化メチオニンを還元するメチオニンスルホキシド還元酵素AがDA存在下においてαsynと結合していることを明らかにし,酵素によるメチオニン還元が治療のターゲットとなりうる可能性を発見した.
|
Strategy for Future Research Activity |
αsynのメチオニン酸化修飾を軽減する成分をさらにスクリーニングし,細胞保護のメカニズムを検討する. MsrAの活性化は酸化メチオニン軽減に直結すると予想される為,MsrAの発現量増加を促す薬剤等をスクリーニングする.それに先立ってMsrAの発現量を調節するメカニズムの検討を行う. マウスPDモデルを用いた検討は現時点では不十分である.過剰なDA(DOPA)やレセルピンを投与したモデルマウスにおいてαsynの酸化修飾状況の検討を行う.
|
Research Products
(4 results)
-
-
[Journal Article] Deficiency of p62/Sequestosome 1 causes hyperphagia due to leptin resistance in the brain2013
Author(s)
Harada H, Warabi E, Matsuki T, Yanagawa T, Okada K, Uwayama J, Ikeda A, Nakaso K, Kirii K, Noguchi N, Bukawa H, Siow R, Mann G, Shoda J, Ishii T, and Sakurai T.
-
Journal Title
J. Neurosci.
Volume: 33
Pages: 14767-14777
DOI
Peer Reviewed
-
-