2013 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病における脳の慢性炎症病態解析と治療法開発
Project/Area Number |
24591266
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
原 英夫 佐賀大学, 医学部, 教授 (00260381)
|
Keywords | アルツハイマー病 / 脳炎 / ワクチン / 抗炎症作用 / サイトカイン |
Research Abstract |
アルツハイマー病動物モデルマウスのAPP トランスジェニックマウスにAβ1-42ペプチドと完全Freund アジュバントで免疫し、そのリンパ節、脾臓および脳からT細胞クローンを樹立し、現在脳炎惹起性(Th1/17)および脳炎非惹起性(Th2)の性格付けの実験を行った。T細胞クローンからは炎症性サイトカイン(IFN-γ, IL-1, IL-12)や抑制性サイトカインなどの分泌をELISA法で測定し、T細胞クローンごとに異なったパターンを示していた。4匹のマウスのうち著明なリンパ節肥大や脾臓腫大は2匹に認められ、そのマウスからは、炎症性サイトカインを分泌するより多くのT細胞クローンが樹立することができた。 同時にAPP トランスジェニックマウスの自己免疫性脳脊髄炎の発症状態の解析のために脳組織中のサイトカインをELISAで定量的に測定し、組織免疫染色により各炎症性蛋白や炎症性サイトカインの分布を解析した。その結果、アストロサイト周辺にはIL-1, IL-6とともにIL-4, TGF-β等の発現も認められた。一方ミクログリアからはIL-2, IL-6 IFN-γ等の炎症性サイトカインが多く認められた。脳老人斑の量は定量的に解析しても、有意な減少傾向は認められず、これは比較的年齢が若いマウスを用いたためと考えられた。血管壁のAβ沈着は残存していた。一方、神経原線維変化には大きな変化は認められなかった。 今後は高齢のアルツハイマー病動物モデルマウスにAβペプチドを免役し脳炎を惹起させ、この新たな免疫抑制因子であるSPARC/osteonectinを用いて、免疫反応の抑制、脳炎の改善効果などの解析を行う予定である。実際にはAβペプチドとアジュバントで免疫した後に、recombinant SPARC/osteonectinを腹腔投与し、脳の炎症状態の解析の変化とリンパ節や脾臓由来のT細胞クローンのサイトカイン産生のレパートリー変化を解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度ではAPP tgマウスにAβ1-42ペプチドと完全Freund アジュバントで免疫し、そのリンパ節、脾臓および脳からT細胞クローンを樹立し、脳炎惹起性(Th1/17)および脳炎非惹起性(Th2)の性格付けの実験を行った。 平成25年度では脳炎惹起性(Th1/17)T細胞クローンに対して、SPARC/osteonectinリコンビナント蛋白がin vitroでどのように抑制効果を示すか、細胞増殖反応やapoptosis検出で評価を行った。SPARC/osteonectinにより細胞増殖抑制効果がある程度観察され、抑制とともに炎症性サイトカインが減少した。6ヶ月齢の若年APP tgマウスにAβ1-42ペプチドを免役した後、その脳を免疫組織学的に解析した。若年マウスではAβの沈着は極少量であり、血管周囲のリンパ球浸潤も極軽度であり、炎症性サイトカインの発現も少なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
脳炎惹起性(Th1/17)T細胞クローンを18ヶ月齢の高齢APPトランスジェニック(tg)マウスに移入し、アルツハイマー病の病態に及ぼす影響を現在観察している。解剖後に脳の炎症状態、老人斑の定量的解析、タウ蛋白の発現量などを組織学的に検索中である。同時にマウス脳にどの程度の炎症が惹起されたかを確認した後に、再度脳炎惹起性(Th1/17)T細胞クローンとSPARC/osteonectinリコンビナント蛋白を同時にマウスに投与し、その抗炎症作用を解析しAβペプチド免疫による炎症に対して抑制効果があるか解析する。
|
Research Products
(17 results)
-
-
-
[Journal Article] Refractory acute disseminated encephalopathy with anti-galactocerebroside antibody.2013
Author(s)
Samukawa M, Hirano M, Tsugawa J, Sakamoto H, Tabata E, Takada K, Kuwahara M, Suzuki S, Kitada M, Yamada T, Hara H, Tsuboi Y, Nakamura Y, Kusunoki S.
-
Journal Title
Neuroscience Research
Volume: 74
Pages: 284-289
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Immunopathological significance of ovarian teratoma in patients with anti-N-methyl-D-aspartate receptor encephalitis.2013
Author(s)
Tabata, Masanori Masuda,Makoto Eriguchi, Masatoshi Yokoyama, Yoshiyuki Takahashi, Keiko Tanaka, Motohiro Yukitake, Etuo Horikawa,Hideo Hara,
Organizer
XXIth World Congress of Neurology
Place of Presentation
Wien, Austria
Year and Date
20130922-20130922
-
-
-
-
-
-