2013 Fiscal Year Research-status Report
脂質ラフトを標的としたアストロサイト障害抑制の検討
Project/Area Number |
24591279
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
朝倉 邦彦 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (50333159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 多津郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60190857)
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Keywords | 視神経脊髄炎 / 抗アクアポリン4抗体 / アストロサイト / 補体 |
Research Abstract |
視神経脊髄炎(NMO)患者血清中に水チャンネルアクアポリン4(AQP4)と反応する抗体が存在する。AQP4は323個のアミノ酸からなるAQP4M1とN末端が22個短い301個のアミノ酸からなるAQP4M23の2種類のisoformが存在し、生体内ではAQP4はheterotetramerを形成する。今回、アストロサイト細胞株にAQP4M1とAQP4M23にそれぞれ異なる蛍光標識をつけて、この2つの分子を同時に発現する細胞株を樹立した。このAQP4発現細胞をショ糖密度勾配超遠心法で解析すると、AQP4は大部分がlipid raftsに存在することが分かった。この細胞に患者血清を添加すると、細胞の形態が変化(球状化など)し、一部の細胞は培養ディッシュからはがれて浮遊したが、トリパン・ブルー染色では細胞死には至っていないことが確認された。患者血清と補体を同時に加えると6割から7割の細胞が反応後1時間で死滅した。lipid raftsを障害するコレステロールのキレート剤であるmethyl--cyclodextrinで細胞を処理した後に、患者血清と補体を添加すると障害される細胞は2割程度と有意に減少した。 また、患者血清を添加した際、約40kDaの蛋白のチロシンリン酸化が亢進することが確認され、methyl--cyclodextrin処理でこの亢進が消失した。さらにAQP4分子そのものもチロシンリン酸化を受けることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果は出ているが、論文の作成・投稿がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内でのAQP4はほとんどがlipid raftsに局在し、チロシンリン酸化を受けることや、患者血清添加で約40kDaの蛋白のチロシンリン酸化が亢進することが判明した。今後は、このチロシンリン酸化蛋白を同定し、選択的なチロシンリン酸化阻害剤で抗AQP4抗体による直接的な細胞障害抑制が可能かどうかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養用の消耗品が、これまでのストックを用いたため、次年度への繰越しが生じた。 今後、当初の予定通り実験に用いる消耗品を購入する。
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