2012 Fiscal Year Research-status Report
抗ガングリオシド抗体の神経障害機構の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
24591282
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
海田 賢一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (40531190)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 祐行 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (10392440)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 抗ガングリオシド抗体 / 補体活性化能 / IgGサブクラス |
Research Abstract |
Guillain-Barre syndrome(GBS)およびその亜型であるFisher syndrome(FS)の末梢神経障害は抗ガングリオシド抗体による補体介在性神経障害が主体であると考えられており、主に古典的経路の活性化が推測されている。抗ガングリオシド抗体IgGサブクラスはIgG1、IgG3もしくはその両者であり、臨床症状と関連することが知られている。今回抗ガングリオシド抗体IgGサブクラスとその補体活性化能および臨床像について症例を蓄積してIgGサブクラスをIgG1陽性、IgG3陽性、IgG1とIgG3共に陽性(IgG1+IgG3)の3群に再分類し臨床像を検討した。抗ガングリオシド抗体価はGBSで補体活性化能と正の相関を認めた(p<0.01)が、FSでは認めなかった(p=0.069)。補体活性化能とGBSの臨床的重症度は相関を認めず(p=0.68)、サブクラスごとの解析でも相関はみられなかった。臨床症状はIgG1+IgG3陽性群は他群よりも年齢が若く、抗体活性が高く、補体活性化能も高値であった。IgG1+IgG3群はIgG1群と比較し先行感染に消化管感染が有意に多く、IgG3群と比較し脳神経障害を欠いていた。FSについては抗ガングリオシド抗体サブクラスによる臨床症状の差はなかった。GBS/FSの神経障害作用において補体活性化は重要であるが、補体活性化の程度は必ずしも臨床的重症度と相関しなかった。臨床的重症度には年齢、治療開始遅延、補体非介在性神経障害などの多様な因子の関与も考える必要があり、今後の検討課題と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗ガングリオシド抗体の補体活性化作用と抗体活性、臨床症状との相関の検討に関しては概ね予定通りに進行している。ガングリオシド複合体抗体に関しては検討した症例がまだ少なく、現在増やして検討しつつある段階である。ガングリオシド複合体の末梢神経系における局在は実験動物を用いて行っている。組織染色に用いる抗ガングリオシド複合体抗体は準備できている。再現性の確認のために時間を要している。抗ガングリオシド複合体抗体陽性家兎モデルの作製は実験に集中して携われる人員の確保が困難であったため次年度に持ち越すことにしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
抗ガングリオシド抗体およびガングリオシド複合体抗体の補体活性化作用とIgGサブクラス、臨床症状との関連の検討は症例数を増やして抗体ごとに検討する。豊富な症例を有する近畿大神経内科との共同研究を予定している。実験に携われる人員が今年度増えるため抗ガングリオシド複合体抗体陽性家兎モデルの作製を推進する。ガングリオシド複合体の末梢神経系における局在に関してはGD1a/GD1b, GM1/GD1a、GM1/GalNAc-GD1a、GM1/GQ1b複合体に関して家兎組織、ヒト剖検組織を用いて検討する予定である。神経系培養細胞(NSC34, PC12など)の細胞膜糖脂質成分(特に脂質ラフト成分)を分析し、抗ガングリオシド抗体の細胞障害機構に関する実験の準備を行う。 近年一部のGBSにおいてneurofascinなどの神経蛋白に対する抗体が報告されている。その病的意義は不明であるが、抗ガングリオシド抗体のGBSにおける病的意義をより明らかにするために抗神経蛋白抗体の存在も調べる予定である。抗neurofascin抗体に関しては当研究室で既に測定可能であり、まず抗neurofascin抗体をGBSおよびその亜型において測定する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度助成金のうち次年度使用額(¥1,597,984)と平成25年度助成金(¥1,500,000)を以下のような計画で使用する。次年度使用額は動物モデル研究、細胞培養研究、実験関連の人件費を使用していないために生じた。平成25年度は物品費¥1,200,000(試薬、動物、培養細胞等)、人件費¥800,000、旅費¥500,000、その他¥597,984の予定である。
|
Research Products
(18 results)