2013 Fiscal Year Research-status Report
抗ガングリオシド抗体の神経障害機構の解明と新規治療法の開発
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24591282
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
海田 賢一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (40531190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 祐行 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (10392440)
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Keywords | 抗ガングリオシド抗体 / 補体活性可能 / IgGサブクラス / neurofascin 155 / ニューロパチー |
Research Abstract |
Guillain-Barre syndrome(GBS)およびFisher syndrome(FS)の神経障害は抗ガングリオシド抗体による補体介在性障害が主体であると考えられており、主に古典的経路の活性化が推測されている。抗ガングリオシド抗体IgGサブクラスとその補体活性化能および臨床像について引き続きIgG1陽性、IgG3陽性、IgG1とIgG3共に陽性(IgG1+IgG3)の3群に分類し、症例を増やして臨床像を検討した。抗ガングリオシド抗体価はGBSで補体活性化能と正の相関を認めたが、FSでは認めなかった。補体活性化能とGBSの臨床的重症度に相関はなく、サブクラスごとの解析でも相関はみられなかった。IgG1+IgG3陽性群は他群よりも年齢が若く、抗体活性が高く、補体活性化能も高値という特徴を有していた。GBS/FSの神経障害作用において補体活性化は重要であるが、補体活性化の程度は必ずしも臨床的重症度と相関しなかった。次に抗ガングリオシド抗体陰性GBSの神経障害機序を調べるため、近年注目されているneurofascin(NF)155蛋白に対する自己抗体を測定した。抗ガングリオシド抗体陰性GBS群39例、疾患対照群36例、正常対照群15例を対象にELISA、Western BlotによりIgG抗体を検索し、臨床情報を解析した。ELISA法により得られたGBS群のIgG抗NF抗体OD値は正常対照より有意に高値(P=0.0004)であった。対照群の最大補正OD値をcut offとし抗体陽性を定義するとGBS群で抗体陽性は4例(10%)であった。抗体陽性例はWestern Blotで再現性を確認した。抗体陽性症例は全例FS3以上の重症例であった。NF155は抗糖脂質抗体陰性GBSにおいて標的抗原となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗ガングリオシド抗体の補体活性化作用と抗体活性、臨床症状との相関の検討に関しては概ね予定通りに進行し、ガングリオシド複合体抗体に関しては症例を増やして検討しつつある段階である。抗neurofascin155抗体の病的意義に関する研究はほぼ予定通りである。ガングリオシド複合体の末梢神経系における局在は実験動物を用いて行っている。組織染色に用いる抗ガングリオシド複合体抗体は準備できている。再現性の確認のために時間を要している。抗ガングリオシド複合体抗体陽性家兎モデルの作製は実験に集中して携われる人員の確保が困難であったため(異動、産休、育休等)遅れて開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
抗ガングリオシド複合体抗体の補体活性化作用とIgGサブクラス、臨床症状との関連の検討を豊富な症例を有する近畿大神経内科と共同で行う。抗ガングリオシド複合体抗体陽性家兎モデルを作製し、ガングリオシド複合体GD1a/GD1b, GM1/GD1a、GM1/GalNAc-GD1a、GM1/GQ1bの末梢神経系における局在に関しては家兎組織、ヒト剖検組織を用いて検討する予定である。神経系培養細胞(NSC34, PC12など)の細胞膜糖脂質成分(特に脂質ラフト成分)を分析し、抗ガングリオシド抗体の細胞障害機構に関する実験の準備を行う。 GBSにおいて抗neurofascin抗体の病的意義を検証するため、そのIgGサブクラス解析、各種糖脂質抗原、蛋白抗原に対する反応特異性の解析を行う。また抗体の反応特異性と臨床像との関連を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、人員減少のため研究計画が遅れ、動物モデル研究、細胞培養研究関連の研究費を使用していないために生じた。 次年度使用額(¥1,916,800)を以下のような計画で使用する。研究助手の週1日の雇用に約55万円を使用する。そのほかは主に実験動物へのガングリオシド感作実験をおよび動物神経組織を用いた免疫組織染色検討関連の研究で用いる。その概算は物品費¥1,200,000(試薬、動物、培養細胞等)、旅費¥400,000、英文校正費等その他¥316,800の予定である。
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Research Products
(19 results)