2012 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲的生理学的手法による大脳内神経伝導に関する研究
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24591292
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寳珠山 稔 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30270482)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳磁計 / 誘発脳磁場 / 視覚誘発脳反応 / 慢性疼痛 |
Research Abstract |
本研究が明らかにする「非侵襲的生理学的手法による大脳内神経伝導」について平成24年本研究が明らかにする「非侵襲的生理学的手法による大脳内神経伝導」について平成24年度は、1)視覚と聴覚刺激の伝導に関する研究を脳磁計を用いて行い、視覚情報と聴覚情報の相互干渉が側頭葉下面で生じていることを明らかにし、国際英文専門雑誌に報告した(Jomori, Hoshiyama et al., Cogn Neurosci, 2013; Nakagawa, Hoshiyama et al., Neurophysiology, 2012)。本結果から複数の刺激モダリティーによる脳内伝導が刺激後150~200msまでには生じていることから、直列的な脳内伝導を追っていくことができるのは刺激後100ms程度までであろうことが考えられた。 体性感覚反応については、各成分の刺激間の干渉と回復曲線により各成分の接続性と加齢変化に関する測定を開始し、現在健常高齢者およびパーキンソン病でのデータを収集している。平成25年度に成果として発表予定である。その他、関連研究として認知機能と時間感覚の関係(Iwamoto and Hoshiyama, Physical Occup Ther Geriatric, 2012)、運動によって生じる生体の振動計測(Tanaka and Hoshiyama, J Back Musculoskelet Rehab, 2012; Tanaka and Hoshiyama, J Musculoskelet Res, 2012)に関する成果も報告し、基礎的および臨床的な成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において達成すべき基礎的研究として、体性感覚の反応記録を健常高齢者と疾患まで進めており、基礎的研究の成果として初年度の2編の英文論文掲載が達成できたことを含め、研究は概ね順調に経過していると考えている。しかし、研究結果の解析により、本研究の範囲を越える新たな知見も得られているため、本研究での目的に特化して研究成果を整理して報告していくことが必要である。 本研究の中心解析手法である誘発脳磁場のJitteringの解析については当初の予定よりも膨大な時間を要することが明らかとなったため、初年度に論文成果が報告できていない点が部分的に遅れている点である。次年度に成果を報告できるように推進したい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究も刺激後100msまでの各感覚刺激による反応の解析を詳細に行う。既に、視覚刺激による一次視覚野における刺激後50msの早期反応を安定して測定する手法を得ており、解析を進める。 また、体性感覚の伝導には表在感覚伝導が温痛覚伝導の減衰を生じる干渉が存在することが報告されているが、本研究の過程で、逆に温痛刺激が体性感覚の抑制を生じることが観察され、この点についても脳内伝導の視点および病態との関連を明らかにしていく。 特に、誘発脳磁場反応のJitteringについては大容量の連続記録データ(加算平均波形ではない原波形データ)を解析する必要があり、電算機の能力が低かったために読み込みに時間がかかった。この点を改善して解析のスピードを高めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度中に課題となったデータ処理速度を改善するため、高機能の電算機を購入し、解析にあたる。時間的に正確な聴覚刺激を行うためのオージオメーターの購入、連続脳反応記録の解析に必要なソフトの購入、も同時に行う予定である。 平成24年と同様に機器使用料に支出予定であり、平成24年度に行った計測分も含めたデータ保存媒体の購入も必要である。
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Research Products
(5 results)