2013 Fiscal Year Research-status Report
近赤外線分光法および電流知覚閾値を用いた新しいパーキンソン病診断法の開発
Project/Area Number |
24591297
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
出口 一志 香川大学, 医学部, 准教授 (80263896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 和代 香川大学, 医学部, 客員助教 (30592315)
唐木 将行 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50294757)
峠 哲男 香川大学, 医学部, 教授(Professor) (80197839)
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Keywords | パーキンソン病 / 多系統萎縮症 / 電流知覚閾値 / 感覚障害 / 近赤外線分光法 / 嗅覚 |
Research Abstract |
<目的>パーキンソン病(PD)の病変は嗅神経や末梢自律神経から始まるとされるので、これらの部位の評価はPD早期診断に有用である可能性がある。評価方法として近赤外線分光法(NIRS)および電流知覚閾値(CPT)を用い、それらの有用性を検討する。 <研究実施計画>PDおよび健常者を対象にNIRSおよびCPTを行う。パーキンソニズムを呈する疾患(とくに多系統萎縮症(MSA))は対象に含める。 <進行状況>PD28例、MSA20例、健常者(C)28例を対象にCPTの評価を行った。その結果、CPTは3群間で有意な差を認めた。PD群はC群と比べ、2000Hz,250Hz,5Hz刺激に対するCPTが有意に高値を示した。またPD群はMSA群と比べ、250Hz,5Hz刺激に対するCPTが有意に高値を示した。ROC解析を行ったところ、250Hz刺激に対するCPTはPDとMSAを感度82%、特異度75%で識別した。また5Hz刺激に対するCPTはPDとMSAを感度86%、特異度80%で識別した。MSA群とC群にはCPTの有意差はなかった。PDの臨床症状、心臓交感神経脱支配、心血管自律神経機能とCPTの間には有意な関連は認められなかった。嗅覚の評価はまだ不十分であり、今後検討を進めていく予定である。 <意義>PDにおけるCPTの異常は、Aβ線維(2000Hz刺激),Aδ線維(250Hz刺激),C線維(5Hz刺激)を介する感覚伝達と中枢感覚情報処理の障害を示唆している。PDとMSA間のCPTの違いは、MSAにはみられないPD特有の小径線維の障害を反映したものかもしれない。CPT試験はPDの感覚処理の評価だけでなく、PDの診断にも有用な情報を提供するものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CPTに関してはすでに学会発表(第54回日本神経学会学術大会)を行い、論文としても発表済み(Neurology and Clinical Neuroscience 2013;1:209-13)である。一方、NIRSに関しては、検査機器の不具合や被験者および検査者の都合等により、解析が不十分となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
<CPT> PDに関してはde novo例における検討をさらに進めていく。今年からDAT scanが保険診療で実施可能となったので、可能な限りDAT scanと照合しながら検討を進める。 <NIRS> 症例数を増やして検討を進めることが必要である。当初予定していた機器では定量化が難しいため、統計処理が可能な簡易型の機器をに変更して検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
少額のため、消耗品の購入や旅費としての使用ができなかった。 次年度の使用額に組み込んで、消耗品や旅費の一部として使用する。
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Research Products
(2 results)