2013 Fiscal Year Research-status Report
機能的結合fMRIによるてんかん病態診断システムの開発
Project/Area Number |
24591303
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
金桶 吉起 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20280589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂西 倫弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70326354)
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Keywords | てんかん / 機能的MRI / 診断 / 治療 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは、てんかん病態を個々の脳内ネットワークという新しい視点でとらえようとするものであり、これまで不可能であった症例ごとの病態を的確に評価する手法の開発をめざす。てんかんは症例ごとに症状や薬物に対する効果が大きく異なり、個々の脳の病態を把握することは診療に必須である。我々は、機能的MRIによる脳内ネットワーク解析でてんかん各症例の脳病態評価をめざす。本手法は非侵襲的であり、また被験者は30分程度安静を保って臥床するだけでよいので負担も少なく、また特別な課題を課す必要もないためほぼ全ての患者や小児にも適応可能である。解析手法はほぼ完成することができたが、実際にどのように応用していくかが今後の研究課題として残される。 我々は平成25年度末までに健康成人200名のデータを収集し、解析を終えた。このデータは個々のてんかん患者の異常な脳内ネットワーク解析に応用する。しかしてんかん患者は小児から老年期まで発症するので、幅広い年齢層の正常データが必要である。 臨床データとしては、すでに25名ほどの難治性てんかん患者のデータを集めることができた。これらのデータは現在精力的に解析中で、平成26年度中に国際的な科学雑誌に発表を目指す。予備的な解析結果はすでに国際学会(2013 Annual Meeting, American Epilepsy Society)にて報告し、注目を集めた。その内容は以下のとおりである。一部の特殊なてんかん(ミオクローヌスてんかん)以外のすべての患者で異常な脳内ネットワークが検出され、脳波などで推定されたてんかん焦点付近に高いハブ領域を認めた。異常な脳内ネットワークは手術の前後で大きく変化し、しだいに正常化することが観測された。よって本手法は、難治性てんかん患者の手術適応、治療効果の判定に役立つものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、正常例200名ほどのデータを集めることができた。また、機能的MRIによるネットワーク解析の手法はほぼ完成した。さらに難治性てんかん患者25名ほどのデータを収集し、解析中である。すでに一部のデータ解析結果はアメリカてんかん学会にて報告し、注目を集めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、てんかん患者のデータ解析をさらに進め、年度内に国際的な専門雑誌に投稿予定である。さらに本手法が臨床の場で一般的に応用可能になるべく、患者データの収集解析を進める。その一方で小児や老年の正常データの収集をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
被験者の募集で、予定の人数が集まらなかった。出席予定の国際学会に参加を見合わせた。 研究結果の発表のため国際学会に参加予定。また、小児や老人などの幅広い年齢の被験者を募集する。国際的な学会誌に投稿するため英文校正などに使用する。
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Research Products
(3 results)