2014 Fiscal Year Research-status Report
カプセル内視鏡と慢性硬膜下電極埋め込みによる脳活動テレメータシステムの開発
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24591308
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
根本 正史 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 研究員 (80370980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木暮 信一 創価大学, 工学部, 教授 (10133448)
川井 秀樹 創価大学, 工学部, 准教授 (90546243)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経活動・脳循環カップリング / 内因性光学信号 / 脳機能マッピング / 神経可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,覚醒下,自由行動中の小動物において,カプセル内視鏡の技術を応用し,束縛することなく脳活動をイメージングする技術を開発することである。具体的には,①麻酔中のげっ歯類において,感覚刺激による脳活動領域を,カプセル内視鏡のイメージから血液量変化や血液酸素化度変化を検出,マッピングする。②慢性硬膜下電極とカプセル内視鏡を頭部に埋め込み,両信号の同時取得テレメトリーシステムを構築。③無麻酔,無拘束下で両信号を取得,神経活動と脳循環代謝の動的カップリングを解明する。 まず,入手可能な2社カプセル内視鏡を検討。脳活動領域の光学的イメージングの為には,自動調光機能,カラーフィルター,出力フォーマット,LED波長特性を最適化する必要があり,また,電池交換が不可能な為繰り返し使用ができない問題があった。これらを解決する為企業担当者と打ち合わせたが,新たな改造に承諾が得られなかった。そこで,市場購入可能な,従来の超小型ビデオカメラとウェラブルカメラを検討。前者については,低S/Nから微弱な光強度変化が検出困難。後者については2社の製品を比較。光学測定能は両者とも良好であったが,豊富な撮影モードと光学系のセッティング(小視野のマクロ撮影)し易さから, GoPro社製Hero4が実験に適すると判断した。狭帯域光で照明された脳表のMPEG-4 AVC/H.264カラー動画をMatlabのmatrix dataとして変換,最適な撮影モードと,Matlabの最適な処理条件(時空間加算,試行加算,色彩処理)を検討中である。現時点で頭部に埋め込み可能というわけではないが, Lens-CMOSセンサーと機器本体(PCB plate,battery,microSD) を切り離し,前者とLEDのみを頭部に埋め込み,機器本体はラット体外部に装着すれば,覚醒下,自由行動中の脳活動イメージングが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
カプセル内視鏡の導入そのものに企業側の理解が得られなかった為,それに代わりうるカメラの選定に時間を要した。結局,小型で良好な精度をもつカメラとして,日進月歩するウェラブルカメラを導入することになった。もともと目的が異なるカメラを転用して脳機能マッピングを行うので,光学系の改造と,最適な撮影条件の選択,特別な画像処理が必要であり,これに時間を要している。一方,従来からの方法ではあるが,ラットの頭部を固定して,脳活動の可塑的変化を微小電極法と冷却CCDカメラによる脳循環代謝のイメージング法により確認した。総じて,当初の実施計画から遅れている為,期間の延長も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向性と推進の方策は以下3点である。 ① げっ歯類の頭部を麻酔下にて固定し,従来法として確立されている実体顕微鏡と冷却CCD (Rolera-EM-C2)カメラを用いた脳活動のイメージングと,同時に計測されたGoProカメラによるイメージングとを比較し,ウェラブルカメラでの生体計測における可能性,正確性,有用性を検討する。市場で容易に購入できるウェラブルカメラでも,脳組織血液量の変化や,血液酸素化度の変化で,高品位に脳活動領域をマッピングできることを示す。 ② CMOSセンサーと機器本体(PCB plate,battery,microSD) を,長いフレキシブルプリント基板を用いて切り離し,そのCMOSセンサーと,脳表撮影の為の光学系(LED光源も含む)とを結合。これらの光学ユニットを,菲薄化して透見できるようにしたcranial windowに載せ固定,ラット体外部に装着した機器本体と接続する。そして次の段階として,慢性電極との同時計測を実現する。 ③上記の覚醒下,自由行動中の脳活動イメージング技術の開発と並行して,マウスとラットの神経と脳循環のカップリングについて種差の検討,また,キンドリング形成時の動的カップリング,炭酸ガスやAcetazolamide負荷時の動的カップリングについて検討する。
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Causes of Carryover |
脳組織血液量の変化や,血液酸素化度の変化を定量的に検出して脳活動領域を光学的にイメージングするには,カプセル内視鏡の改造が必要であった。しかし,これが不可能であった為,他の小型撮影装置(最終的にはウェラブルカメラとしてGoPro社製Hero4)に変更して研究を遂行する必要があり,遅れが生じた。現在,これらの機器を用いて,脳活動計測に最適な撮影モードと取得画像の最適な数学的処理条件を開発中であるが,なお時間を要し,この間の資金繰りも必要な為,次年度使用の予算とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
小型撮影装置の購入と改造費用,照射光源,レンズなどの光学系の開発費用,および,取得画像からの脳活動イメージングを行う開発費用として合わせて約50万円,残りは,ラットなどの実験動物費用と電極,麻酔薬などの消耗品に関わるランニングコスト,および学会発表などの活動参加費用として使用予定。
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Research Products
(2 results)