2013 Fiscal Year Research-status Report
合成致死性を応用した解糖系制御遺伝子の効率的網羅的探索
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24591313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 毅治 東京大学, 医科学研究所, 助教 (70511418)
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Keywords | 解糖系 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
ミトコンドリア複合体Vの阻害剤oligomycin 感受性遺伝子の探索をさらに進め、5種類の遺伝子を同定した。5種類の遺伝子のうち1種類はメカニズムが予想される代謝酵素であったが、他の4種類の遺伝子については代謝との関係が報告されていないことから、これら遺伝子の代謝への役割を解明することで新たな代謝制御機構が明らかになると考えられる。 同定した5種類の遺伝子のうち、2種類の遺伝子のノックダウン細胞はoligomycin, antimycin (complex III阻害剤)に対して感受性になるのに対し、 rotenone(complex I阻害剤)に対しては抵抗性を示す特徴的な性質を示した。また、この2種類の遺伝子のノックダウン細胞は低酸素下での細胞増殖にも抵抗性を示した。 解糖系との関わりについて解析を行った結果、これら遺伝子のノックダウンは乳酸の産生には大きな影響を与えなかったことから、解糖系に直接影響しているのでは無いと考えられたが、oligomycin存在下での解糖系シフトに関わる可能性を排除しきれないので、その点に関してさらなる解析を進める必要がある。 また、プラスチックディッシュ培養上での増殖だけでなく、コラーゲンゲル中での三次元培養を行った結果、3種類の遺伝子のノックダウンで増殖の著しい低下が見られた。これらの結果から、代謝制御に関わる遺伝子が三次元環境下での細胞増殖に強く影響を与える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度はスクリーニングに遅れが出たが、今年度で新たな代謝制御候補遺伝子が5種類同定できた。また、それぞれの遺伝子がミトコンドリア阻害剤に対して異なる薬剤感受性を示すことや、三次元環境下での増殖など生体に近い環境下での細胞増殖に関わるなど、次年度でのin vivoへの解析がうまく展開できることが期待される結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作製した新規代謝制御遺伝子5種類のノックダウンがん細胞を用いて、ヌードマウス皮下移植による造腫瘍能の解析や、マクロファージへのノックダウンを行うことで炎症反応における新規代謝制御遺伝子の役割を解明することで、生体機能における代謝機能制御遺伝子の役割の解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度のスクリーニングの遅れを受け、当初予定していた費用のかかる実験(特に動物実験)のH25年度での計上がH26年度にずれ込んだため。研究自体は順調に展開できているのでH26年度への計画に支障はない。 当初H25年度で予定していた動物実験への費用、および論文発表等成果報告のための費用として使用する。
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Research Products
(9 results)