2012 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞ブドウ糖毒性(膵β細胞機能障害)の分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
24591327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金藤 秀明 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80448034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 孝昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10379258)
宮塚 健 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60622363)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵β細胞 |
Research Abstract |
(1)膵β細胞機能維持における転写因子PDX-1の重要性の検討:膵β細胞特異的かつ誘導性にPDX-1を高発現する遺伝子改変マウスの作製、解析 Akitaマウスはインスリン2遺伝子に変異を有し、異常インスリン遺伝子の蓄積により小胞体ストレスを介したβ細胞死が誘導され、5週齢頃には高血糖状態となる。本検討においては、Akitaマウスにインスリンの転写因子であるPDX-1を膵臓特異的かつ誘導性に発現させる遺伝子改変マウスを作成し、PDX-1発現の重要性に関して検討している。その結果、AkitaマウスにおいてPDX-1を4週齢より過剰発現させ、8週齢で検討したところ、HbA1cの有意な低下が認められた。 (2)膵β細胞機能維持におけるインクレチンの重要性の検討:膵β細胞特異的かつ誘導性にGLP-1受容体を高発現する遺伝子改変マウスの作製、解析 4, 8, 12週齢のdb/dbマウスおよびコントロールの膵島単離を行い、TaqMan arrayによりβ細胞特異的遺伝子の発現を継時的に定量化を行ったところ、GLP-1受容体の発現は、4週齢では同程度だったが、8週齢以降ではdb/dbマウスの方が有意に低下していた。このような結果から糖代謝異常あるいは脂質代謝異常が原因でGLP-1 受容体発現低下が低下する可能性が高いのではないかと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回検討している2つの課題(1)膵β細胞機能維持における転写因子PDX-1の重要性の検討:膵β細胞特異的かつ誘導性にPDX-1を高発現する遺伝子改変マウスの作製、解析(2)膵β細胞機能維持におけるインクレチンの重要性の検討:膵β細胞特異的かつ誘導性にGLP-1受容体を高発現する遺伝子改変マウスの作製、解析はいずれも急増する2型糖尿病患者さんにおいてしばしば認められる膵β細胞ブドウ糖毒性の分子メカニズムに関するものであるため、最優先して実験を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)膵β細胞機能維持における転写因子PDX-1の重要性の検討:膵β細胞特異的かつ誘導性にPDX-1を高発現する遺伝子改変マウスの作製、解析 Akitマウスにおいて膵β細胞特異的かつ誘導性に4~5週齢頃においてPDX-1を高発現させ、膵島を単離し、その遺伝子プロファイルを対象マウスと比較検討する計画である。さらに、(血糖値のかなり上昇した)6週齢以降のAkitaマウスにPDX-1を過剰発現させて、β細胞死が進行し、糖尿病が顕在化した状態における外因性PDX-1のβ細胞保護効果を解析する計画である。 (2)膵β細胞機能維持におけるインクレチンの重要性の検討:膵β細胞特異的かつ誘導性にGLP-1受容体を高発現する遺伝子改変マウスの作製、解析 CAG-CAT-GLP-1 receptor(GFP)マウスをPDX-1-Cre-ER マウスと交配し、タモキシフェンを投与したところ、膵島にGFPの発現が確認でき、GFP陽性細胞はほぼインスリンが陽性となっていることが確認できたので、今後そのコロニーの拡大とBKSへのbackcrossをさらに進めていく計画である(現在、3世代目までのbackcross を終えている)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)膵β細胞機能維持における転写因子PDX-1の重要性の検討:膵β細胞特異的かつ誘導性にPDX-1を高発現する遺伝子改変マウスの作製、解析 Akitマウスにおいて膵β細胞特異的かつ誘導性にPDX-1を高発現させ、膵島を単離し、その遺伝子プロファイルを対象マウスと比較検討する計画であるが、マウスケージの維持費、膵島単離、培養、また遺伝子プロファイルの検討のためにmRNA抽出、cDNAの作成などに研究費を使用する計画である。 (2)膵β細胞機能維持におけるインクレチンの重要性の検討:膵β細胞特異的かつ誘導性にGLP-1受容体を高発現する遺伝子改変マウスの作製、解析 CAG-CAT-GLP-1 receptor(GFP)マウスをPDX-1-Cre-ER マウスと交配した結果、膵島にGFPの発現が確認でき、GFP陽性細胞はほぼインスリンが陽性となっていることが確認できたので、今後そのコロニーの拡大とBKSへのbackcrossをさらに進めていくために、マウスケージの維持費、さらにその後の膵島単離、培養、また遺伝子プロファイルの検討のためにmRNA抽出、cDNAの作成などに研究費を使用する計画である。
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