2013 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞ブドウ糖毒性(膵β細胞機能障害)の分子メカニズムの解析
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24591327
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
金藤 秀明 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80448034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 孝昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10379258)
宮塚 健 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60622363)
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Keywords | 膵β細胞 |
Research Abstract |
膵β細胞機能維持における転写因子PDX-1の重要性:Akitaマウスはインスリン2遺伝子に変異を有し、異常インスリン遺伝子の蓄積により小胞体ストレスを介したβ細胞死が誘導され、5週齢頃には高血糖状態となる。本検討においては、Akitaマウスにインスリンの転写因子であるPDX-1を膵臓特異的かつ誘導性に発現させる遺伝子改変マウスを作成し、PDX-1発現の重要性に関して検討している。バッククロスを2回終えたAkitaマウスにおいて、PDX-1を4週齢より過剰発現させ、8週齢で検討したところ、HbA1cの有意な低下が認められた。現在、5回までのバッククロスを行い、同様の検討を進めている。 膵β細胞機能維持におけるインクレチンの重要性:db/dbマウスおよびコントロールの膵島単離を行い、TaqMan arrayによりβ細胞特異的遺伝子の発現を継時的に定量化を行ったところ、GLP-1受容体の発現は、4週齢では同程度だったが、8週齢以降ではdb/dbマウスの方が有意に低下していた。この結果をふまえて、現在膵β細胞特異的GLP-1 受容体高発現マウスを作成し、C57BKSとのバッククロスを行っている。 治療介入時期の違いによる抗糖尿病薬のβ細胞保護効果の差異:膵β細胞障害が軽度な期間内にThiazolidine薬あるいはGLP-1受容体作動薬を投与すれば、β細胞機能は回復したが、膵β細胞障害が進行した後にこれらの薬剤を投与しても、その効果は少なかった。特にβ細胞増殖能関してはその差が明瞭に認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回検討している課題はいずれも急増する2型糖尿病患者さんにおいてしばしば認められる膵β細胞ブドウ糖毒性の分子メカニズムに関するものであるとともに、結果が臨床に直結する内容であり、最優先して実験を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
膵β細胞機能維持における転写因子PDX-1の重要性の検討:Akitマウスにおいて膵β細胞特異的かつ誘導性に4~5週齢頃においてPDX-1を高発現させ、膵島を単離し、その遺伝子プロファイルを対象マウスと比較検討する計画である。さらに、(血糖値のかなり上昇した)6週齢以降のAkitaマウスにPDX-1を過剰発現させて、β細胞死が進行し、糖尿病が顕在化した状態における外因性PDX-1のβ細胞保護効果を解析する計画である。 膵β細胞機能維持におけるインクレチンの重要性:CAG-CAT-GLP-1 receptor(GFP)マウスをPDX-1-Cre-ER マウスと交配し、タモキシフェンを投与したところ、膵島にGFPの発現が確認でき、GFP陽性細胞はほぼインスリンが陽性となっていることが確認できたので、今後そのコロニーの拡大とBKSへのbackcrossをさらに進めていく計画である。 治療介入時期の違いによる抗糖尿病薬のβ細胞保護効果の差異:膵β細胞障害が軽度な期間内にThiazolidine薬あるいはGLP-1受容体作動薬を投与すれば、β細胞機能は回復したが、膵β細胞障害が進行した後にこれらの薬剤を投与しても、その効果は少なかった。その原因を検索するため、アポトーシスおよびグルコース応答性インスリン分泌に関して詳細に検討する。
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[Journal Article] A novel function of Onecut 1 as a negative regulator of MafA.2013
Author(s)
Yamamoto, K., Matsuoka, T., Kawashima, S., Takebe, S., Kubo, N., Miyatsuka, T., Kaneto, H., and Shimomura, I.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 288
Pages: 21648-21658
DOI
Peer Reviewed