2014 Fiscal Year Annual Research Report
誘導性細胞標識システムを利用した膵β細胞分化・再生メカニズムの解明
Project/Area Number |
24591330
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南 幸太郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80334176)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 糖代謝異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、誘導性Cre/loxPシステムに基づく膵β細胞標識モデルマウスを用いて、その分化・増殖・再生過程を比較解析することによって、膵β細胞がどのようにインスリン分泌機能を獲得して成熟した細胞に分化・再生するのか、アロキサン糖尿病モデルにおけるヒトGLP-1受容体作動薬リラグルチドの効果を解析することにより、その一端を明らかにすることを目的とした。我々は、誘導性に膵β細胞を標識できるマウス(Ins2-Cre/R26RYFPマウス)を樹立し、これによって膵β細胞の増殖(自己複製)と新生(幹/前駆細胞からの分化)を区別できることを実証しているので、このマウスを用いて解析を実施した。 前年度までに、リラグルチドがアロキサン糖尿病マウスにおいて膵β細胞の量と質をともに改善することを明らかにしてきたが、最終年度では、そのメカニズムについて主に解析を進めた。利尿薬で糖の再吸収を阻害するフロリジンを投与し、リラグルチドと同様の血糖コントロールをしたにもかかわらず膵β細胞量は増加せず、インスリン分泌機能も回復しなかった。このことからリラグルチドは、血糖降下作用以外にも何らかのメカニズムで膵β細胞の量と機能へ影響していると考えられた。リラグルチドは、アロキサン投与とその後の高血糖によって生じた膵β細胞における酸化ストレスを軽減した。この時、膵β細胞の機能と量の維持に関与する転写因子のPdx1とFoxO1の発現が回復することを見出した。興味深いことに、リラグルチドによるこれらの効果は、薬剤投与終了後少なくとも2週間は持続した。 以上の結果から、ヒトにおいても同様の効果が認められれば、膵β細胞量の減少した糖尿病患者に対して有用な薬剤となる可能性があると考えられる。
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[Journal Article] Glutamate acts as a key signal linking glucose metabolism to incretin/cAMP action to amplify insulin secretion.2014
Author(s)
Gheni G, Ogura M, Iwasaki M, Yokoi N, Minami K, Nakayama Y, Harada K, Hastoy B, Wu X, Takahashi H, Kimura K, Matsubara T, Hoshikawa R, Hatano N, Sugawara K, Shibasaki T, Inagaki N, Bamba T, Mizoguchi A, Fukusaki E, Rorsman P, Seino S
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 9
Pages: 661-673
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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