2012 Fiscal Year Research-status Report
FSP27による臓器間の脂肪分布変化がインスリン感受性を制御するメカニズムの解明
Project/Area Number |
24591331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田守 義和 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90379397)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / 脂肪滴 |
Research Abstract |
当該年度の目標はFSP27の発現レベルがインスリン感受性臓器における中性脂肪蓄積量にどういった影響を与えるかを検討すると共に、効率よく中性脂肪滴を形成するFSP27のカルボキシル(C)末端側の変異体を脂肪細胞特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスを作成することである。 FSP27の発現量に関しては、B57BL6マウス(野生型)を自由摂食群と24時間絶食群にわけ、白色脂肪組織、褐色脂肪組織、肝臓、骨格筋で、中性脂肪量とともにFSP27のmRNAレベルおよび蛋白レベルの発現量を検討した。その結果、24時間絶食では、白色脂肪組織で中性脂肪量が著明に減少するとともに、肝臓では逆に中性脂肪量が増加した。これに呼応して、白色脂肪組織のFSP27はmRNAレベルでも蛋白レベルでも共に減少が認められた。一方、褐色脂肪組織と肝臓では絶食によりFSP27のmRNAおよび蛋白量に増加が認められた。特に褐色脂肪組織では絶食によってFSP27の蛋白レベルが大きく増加した。また骨格筋では有意な変化が認められなかった。以上の結果から、臓器に中性脂肪が蓄積するためにはその臓器のFSP27の発現増加が重要な役割を担っていることが示唆された。 同時に当該年度はFSP27のC末端側の変異体を過剰発現するトランスジェニックマウスを作成するにあたり、FSP27の構造機能連関を解析した。その結果、巨大な脂肪滴の形成に重要なFSP27のC末端側構造(131-239アミノ酸)のうち、脂肪滴膜に局在するためには131-200アミノ酸部分で十分であるが、巨大脂肪滴を形成するのには最もC末端側の201-239アミノ酸部分の39アミノ酸が必須であることを見出した。 FSP27変異体トランスジェニックマウスの作成についてはtransgeneの構築に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由:脂肪組織のFSP27の蛋白量解析に手間取ったため、肥満病態における脂肪組織のFSP27の発現量と中性脂肪蓄積能に関する検討がやや遅れている。また、FSP27変異体トランスジェニックマウスの作成に関して、transgeneの作成が予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は脂肪細胞特異的FSP27変異体トランスジェニックマウスの作成のためのtransgeneの完成に全力を挙げる。また、高脂肪食や絶食などの操作によって、脂肪組織の脂肪蓄積状態に変化を与えた状態で、脂肪組織のFSP27の発現量と脂肪蓄積能の関係を明らかにすると同時に、肝臓や骨格筋の脂肪蓄積量がどう変化するのか、続いて検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は、脂肪細胞特異的FSP27変異体トランスジェニックマウスの作成のためのtransgeneの作成に要する試薬代、FSP27の構造と機能を詳細に解析するための試薬および細胞培養に関する費用、マウスの飼育管理費、インスリン感受性臓器を用いての中性脂肪量測定やウエスタン解析、定量的PCR解析に要する経費、そして研究補助員の人件費などである。
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