2013 Fiscal Year Research-status Report
運動による糖脂質代謝改善機構の解明と生活習慣病に対する新規運動効果模倣薬の探索
Project/Area Number |
24591332
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
細岡 哲也 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60590594)
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Keywords | 運動効果模倣薬 / PGC1αb/c |
Research Abstract |
代表者は、PGC1αの新規アイソフォームPGC1αb/cを同定しアイソフォーム特異的ノックアウトマウスの解析を通して、既知PGC1αではなく新規アイソフォームPGC1αb/cが運動による糖脂質代謝改善作用を担うことを明らかとした。すなわち、PGC1αb/cを活性化する薬剤は新規運動効果模倣薬に資する可能性が考えられる。本研究では、1.PGC1αb/cを活性化する新規運動効果模倣薬の探索、2.PGC1αb/c-転写因子Xを基軸とする運動による糖脂質代謝改善機構の解明、を目的とした。 1.PGC1αb/c を活性化する新規運動効果模倣薬の探索 新規PGC1αb/cプロモーターあるいは既知PGC1αプロモーターの制御下にルシフェラーゼを発現するコンストラクトをそれぞれ作製し、培養骨格筋細胞に導入して恒常的細胞株を樹立した。これらの細胞を用いて、既知PGC1αを活性化することなく新規PGC1αb/cプロモーターのみを活性化する化合物のスクリーニングを行っている。 2.PGC1αb/c-転写因子Xを基軸とする運動による糖脂質代謝改善機構の解明 代表者らは、骨格筋においてPGC1αb/cと会合する分子として転写因子Xを見出した。本研究では、転写因子Xの骨格筋特異的ノックアウトマウスの作製と解析により骨格筋における転写因子Xの生理的役割を解明する予定であり、現在、転写因子Xのfloxマウスの作出を終了している。さらに、培養骨格筋細胞を用いた実験によりAICAR、Ca2+、アディポネクチンなどの運動関連シグナルのうちどのような上流シグナルがPGC1αb/cと転写因子Xの会合や活性に影響を及ぼすのか、また、PGC1αb/cと転写因子Xが下流のどのような標的遺伝子の発現を制御するかについて検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、転写因子Xの骨格筋特異的ノックアウトマウスの作製と解析により転写因子Xの生理的役割を解明する予定であるが、転写因子Xのfloxマウスの作出に際し、ターゲティングベクターの設計上の問題により当初予定よりも約10か月間の遅れが生じた。しかしながら、設計上の問題は解決し、現在floxマウスの作出を終了している。 その他の実験に関しては、概ね計画通りに進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.PGC1αb/c を活性化する新規運動効果模倣薬の探索 培養骨格筋細胞を用いて候補化合物をスクリーニングした後、候補化合物を正常マウスに投与し、骨格筋におけるPGC1αb/cの発現増加を確認する。次に、肥満・糖尿病モデルマウスにこの化合物を投与し、糖脂質代謝の改善効果の有無に関して検討する。 2.PGC1αb/c-転写因子Xを基軸とする運動による糖脂質代謝改善機構の解明 転写因子Xのfloxマウスを骨格筋特異的Creマウスと交配し、骨格筋特異的転写因子Xノックアウトマウスを作出する。この骨格筋特異的転写因子X欠損マウスを通常環境あるいは回転かごを設置した運動環境にて飼育し、体重、脂肪組織量、糖脂質代謝パラメーター、骨格筋における遺伝子発現変化等について解析を行う。さらに、培養細胞を用いた検討によりPGC1αb/c-転写因子Xを活性化する上流シグナルならびに下流の標的遺伝子を検討することにより、PGC1αb/c-転写因子Xを基軸とする運動による糖脂質代謝改善機構を明らかとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に、転写因子Xの骨格筋特異的ノックアウトマウスの作出を終了し解析を開始する予定であったが、この進捗が当初計画より遅れ、同年度中に解析を開始出来なかったためである。このために解析に必要な試薬や物品費、動物飼育管理費などが平成25年度中には不要となり当該助成金が生じることとなった。 当該助成金に関しては、転写因子Xの骨格筋特異的ノックアウトマウスの解析に必要な試薬、物品費や動物飼育管理費に充てる予定である。
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