2013 Fiscal Year Research-status Report
1型糖尿病に対する脱分化脂肪細胞を用いた新規免疫抑制療法の開発
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24591344
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石毛 美夏 日本大学, 医学部, 助教 (90420950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
麦島 秀雄 日本大学, 医学部, 教授 (80183648)
浦上 達彦 日本大学, 医学部, 准教授 (60223616)
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Keywords | 再生医療 / 1型糖尿病 |
Research Abstract |
1型糖尿病モデルマウス由来DFAT(NOD-DFAT)の作成およびその細胞表面抗原の解析とin vitroにおける免疫寛容誘導能の検討を行った。 細胞表面抗原は、すべての検体でCD45、CD34、CD11bは陰性、CD105は陽性であり、糖尿病発症群でも非発症群でも相違はみられなかった。NOD-DFATの長期継代は困難であるが、継代しえた細胞では表面抗原の変化はみられなかった。免疫寛容関連分子の発現について、IFN-γ、IFN-β、TNF-α刺激下で培養を行い、免疫制御関連遺伝子発現の変化をRT-PCRで検討を行った。刺激濃度、培養期間により結果が異なり、現在までには一定の結論を得られていない。NOD-DFATは長期継代は困難であるため、安定した条件の検討のため、当研究室で作成している胎盤由来の間葉系幹細胞(MSC)で同様の実験を行った。IFN-γ10ng/ml、72時間刺激によりTGF-βおよびIDO1の発現が大幅に上昇したが、PTGS2とHGFの発現には変化はみられなかった。 さらに、1型糖尿病モデルマウスの自然経過の解析およびin vivo におけるDFATによる免疫抑制治療効果の検討を行った。 1型糖尿病モデルマウスを10週齢より毎週血糖値を測定し、血糖値が150mg/dlを超えて糖尿病を発症したと判断された直後にあらかじめ作成した糖尿病発症NOD-DFATを経静脈投与し、その投与量と治療効果を検討した。発症時期が18週から29週と幅広く、発症時の血糖値がマウス個体によって162-468mg/dlと異なり、発症後の未治療生存期間も5週~12週と個体差が大きく有意差は得られていないが、細胞数10万、単回投与でDFATを投与した群は発症後の体重減少など臨床症状の悪化が少なく、生存期間が長い傾向が認められた。組織学的な検討の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1型糖尿病モデルマウスの糖尿病発症率や発症時期がグループによって異なり、安定した結果を得ることが難しかった。さらに、治療に必要な細胞投与量の検討も必要であり、多量投与により死亡する個体もあり、経過観察できない群もあった。In vitroでは、NOD-DFATはプライマリーの細胞であり長期継代が困難であるため、免疫寛容関連分子の発現について安定した培養条件を本細胞で検討することが難しく、まずは長期継代可能な類似細胞を用いて培養条件を検討することとした。 1型糖尿病患者末梢血リンパ球を用いてヒトでの増殖抑制効果を得られるか検討予定であったが、適切な初発患者が得られなかったことおよび至適培養条件が定まっていないことから実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1型糖尿病モデルマウスの発症率や発症時期が大幅に異なるため、自然発症モデルではなく、自己免疫機序を利用した発症促進モデルなどを用いて、安定した発症と治療効果を得られるようなin vivoモデルを作成する。例えば、未発症の若齢雄個体に対し発症した雌個体のT細胞を移植し発症率を上げるモデルと治療を考案中である。 得られるNOD-DFATの量に限りがあることから、類似細胞であり長期継代可能なMSCを用いてin vitroにおける至適培養条件を検討する。条件決定後、NOD-DFATを用いて免疫寛容誘導にかかわる因子(IFN-γ, IDO, PGE2, TGF-βなど)の発現、分泌される液性因子に対するNODマウスのリンパ球の遊走能、リンパ球増殖抑制効果や樹状細胞への分化抑制能の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1型糖尿病モデルマウスの糖尿病発症率や発症時期がグループによって異なり、安定した結果を得ることが難しく、適切な条件を決定して頻回の検討を行うことができず、治療機序を推定するための組織学的検討や免疫学的な検討に至らなかった。In vitroでは、NOD-DFATはプライマリーの細胞であり長期継代が困難であるため、免疫寛容関連分子の発現について安定した培養条件を本細胞で検討することが難しく、長期継代可能な類似細胞を用いて培養条件を検討することとしたため、実験の進行に遅れが生じた。 1型糖尿病患者末梢血リンパ球を用いる検討では、適切な初発患者が得られなかったことから実施できなかった。 細胞培養のため、培地やウシ胎児血清、サイトカイン、プラスチック器具などの消耗品を購入する。NOD-DFATおよびMSCをサイトカインの刺激下で免疫寛容誘導にかかわる因子の発現や細胞増殖をみるため、IFN、TNF及びmRNA精製からプライマー反応までの試薬、ELISAアッセイキット、CFSE assayキット、プラスチック器具等を購入する。NOD-DFATのin vivoにおける糖尿病発症抑制効果の有無を検討するためNODマウス、血糖測定チップを購入し、治療後の膵臓の炎症性変化追跡のための組織切片作成を外部委託するための費用、組織染色のための免疫染色抗体及び試薬にかかる費用を計上する。DFAT治療群のリンパ球分画や分泌サイトカイン変化の検討を行うために蛍光抗体およびELISAアッセイキット等を購入する。研究成果を学会で発表するための旅費及び発表原稿の英文校正にかかる費用を計上する。
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