2013 Fiscal Year Research-status Report
ニューロメジンU関連ペプチドの生体内機能および関連疾患に関する研究。
Project/Area Number |
24591361
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花田 礼子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00343707)
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Keywords | 神経ペプチド / 生理機能解析 / 遺伝子改変マウス / 慢性炎症 |
Research Abstract |
本研究では一連のニューロメジンU関連因子(ニューロメジンU、ニューロメジンS、ペプチドX)の新規生理機能解析を野生型マウスならびにそれぞれの分子の遺伝子改変マウスを用いて進めている。現時点では以前に発表されていたニューロメジンUシステムと炎症という観点から、肥満・代謝疾患疾患に注目し、中でも慢性炎症作用が強く関与していると報告されているNASH/NAFLD (nonalcoholic steatohepatitis / nonalcoholic fatty liver disease) に着目してニューロメジンU作用の検討を行っている。本研究にてこれまでに得られたデータから、食事誘導性NASHモデルマウスの肝臓組織においては非NASHモデルマウスの肝臓組織にて通常殆ど検出する事ができないニューロメジンUならびにニューロメジンU受容体1のmRNA発現量の増加が認められた。さらに、マウスのみならず、ヒトNASH患者さんの肝臓組織においても、通常、非NASH患者さんの肝臓組織では認められないNMU陽性細胞が認められた。一方で、ニューロメジンU遺伝子欠損マウスを用いてNASHモデルを作製したが、病態の進展に関してはコントロールマウスとの間に有意差は認められなかった。以上より、本年度はNASH病態におけるニューロメジンU発現系の増強の意義の解明をニューロメジンU遺伝子の過剰発現系を用いた解析により検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型マウスを用いた食事誘導性NASHモデルの肝臓組織においてニューロメジンU(NMU)、NMUR1遺伝子発現の上昇を確認し、免疫組織染色にてNMU抗体とマクロファージのマーカーであるF4/80抗体との共染色が認められた。しかし、NMU遺伝子欠損マウスを用いて食事誘導性NASHモデルを作製し解析した際には、コントロールマウスに比べてNASH病態の進展に有意な差は認められなかった。一方で、昨年度はマウスモデルのみならず、ヒトNASH患者さんの肝臓組織にてNMU陽性細胞の検出を認め、さらにマウスモデル同様、正常ヒト肝臓組織においては、NMU陽性細胞の検出は認められなかった。 以上の結果から、平成26年度はNASH病態におけるNMU/NMUR1系路の発現増強の意義をSleeping Beauty systemを用いて解析し、一連の研究計画を完遂させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究結果から、野生型マウスのNASH病態の肝臓組織において、NMU/NMUR1系路の遺伝子発現が増強していることが明らかとなっている。一方でNMU遺伝子欠損マウスを用いた解析では、コントロールマウスに比べ、NASH病態の進展に有意な差は認められなかったため、本年度は、NMU遺伝子の過剰発現モデルを野生型マウスにSleeping Beauty systemを用いて作製の上、NASH食の負荷を行ない、NASH病態の肝臓組織におけるNMU/NMUR1系路の生理的意義を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品の値引きなどにより、当初予定していた定価での額より余剰が生じたため、未使用額が生じた。 平成25年度の未使用額は、平成26年度の物品購入の際に充てる事としたい。
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