2014 Fiscal Year Annual Research Report
劇症1型糖尿病の成因ー患者分析より新たに見出された2分子の病態学的意義の解明
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24591362
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今川 彰久 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80373108)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 1型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、劇症1型糖尿病において、1)ウイルス感染下流に位置する蛋白X(=ISG15)、2)患者免疫担当細胞で発現が低下する蛋白Y(=KLRC3)のβ細胞傷害における意義を明らかにすることである。 1)ISG15の検討 膵β細胞株MIN6を用いて、IFNα添加によりISG15の発現が用量依存的に増加すること、ISG15を強制発現させると炎症性サイトカインによるアポトーシスが減少し、ノックダウンさせると増加することを明らかにした。すなわち、ISG15はMIN6細胞において抗アポトーシス作用を有することが明らかになり、治療応用への可能性が示された。 さらに本年度は、ウイルス側の環境をよりヒト劇症1型糖尿病に近似したものとするため、ポリイノシンポリシチジン酸(PIC)をMIN6細胞に導入する系を構築した。その結果、IFNα/βおよびISG15mRNA発現上昇、TUNEL陽性細胞数の増加等によりアポトーシスの亢進を明らかになった(投稿準備中)。 次に、host 側の環境を近似させるため、ヒトiPS細胞株よりβ細胞を分化誘導し用いる系を構築した。具体的には、SOX17陽性内胚葉細胞、PDX1陽性膵前駆細胞を経て、インスリン陽性細胞を誘導する3段階の誘導法によりインスリン産生細胞を分化誘導しえた。 2)KLRC3の検討 NK細胞におけるmRNA発現量の検討から、劇症1型糖尿病では、1)KLRC3およびheterodimerを形成するCD94の発現が有意に低下、3)KLRCファミリーのKLRC1やNKG2Dの発現は有意差がない、などを明らかした。また、末梢血単核球中のNK細胞の割合と先行感染から膵β細胞の破壊までの期間が短さの関連を明らかにした。以上より、劇症1型糖尿病においてKLRC3の発現低下によりウイルス感染に対する免疫反応の異常を介して、発症に関与することが示唆された。
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[Journal Article] Interferon stimulated gene 15 has an anti-apoptotic effect on MIN6 cells.2014
Author(s)
Yoshikawa A, Imagawa A, Nakata S, Fukui K, Kuroda Y, Miyata Y, Sato Y, Hanafusa T, Matsuoka TA, Kaneto H, Iwahashi H, Shimomura I.
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Journal Title
Endocr J.
Volume: 61
Pages: 883-890
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 劇症1型糖尿病2014
Author(s)
今川彰久
Organizer
第57回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪市
Year and Date
2014-05-22 – 2014-05-24
Invited
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[Presentation] 劇症1型糖尿病患者膵島領域に発現する蛋白の同定(第三報) ISG15の機能解析2014
Author(s)
芳川 篤志, 今川 彰久, 中田 伸輔, 宇野 彩, 福井 健司, 黒田 陽平, 宮田 佑吾, 佐藤 叔史, 花房 俊昭, 松岡 孝昭, 金藤 秀明, 岩橋 博見, 下村 伊一郎
Organizer
第57回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪市
Year and Date
2014-05-22 – 2014-05-24