2013 Fiscal Year Research-status Report
機能性RNAにより制御される下垂体内分泌機構の解明
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24591363
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
蓮輪 英毅 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50343249)
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Keywords | RNA / 遺伝子改変動物 / 非コードRNA / 生殖内分泌 |
Research Abstract |
miR-200bとmiR-429を2重に欠損したマウスは排卵不全により雌性の不妊となる。これまでの解析から、表現型に密に関連したmiR-200bおよびmiR-429の標的遺伝子として抑制型の転写因子であるZeb1遺伝子を明らかにし、ZEB1による遺伝子発現制御の異常が下垂体機能不全による雌の不妊を引き起こしていると考えている。実際に、Zeb1を下垂体前葉のゴナドトロフで強発現させたトランスジェニックマウスも排卵不全による不妊となる。しかしながら、どのようなメカニズムでZeb1が排卵異常を引き起こしているのかについては不明である。 本研究では、排卵を制御する視床下部―下垂体―卵巣系におけるmiRNA-標的遺伝子―高次生命現象の関わりを明らかにするために、miR-200b, miR-429およびZeb1遺伝子に着目し、miRNAが寄与する排卵機構を個体レベルで解明することを目的とする。 miR-200bとmiR-429を二重に欠損したマウスの血中のホルモン濃度を調べてみたところ、LHの血中濃度が低く、さらに排卵の引き金となるLHサージが正常に起きていないことがわかった。そのため、下垂体におけるLH発現を調べたところ、mRNA、タンパクレベルでの発現低下がmiR-200とmiR-429を同時に欠損させたマウスで見られた。Zeb1は抑制性の転写因子であるため、LHのサブユニットであるLhbのプロモーター領域にZEB1結合配列が存在し、ZEB1の増減によりLhbの転写が調節されていることが明らかになった。これらのことから、miR-200bとmiR-429は下垂体において、ZEB1タンパク質の量を減らすことでLhbの転写を安定化させ、正常な排卵機構を維持していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年1月より慶應義塾大学へ移動したことにより、実験動物の飼育を一時中断する必要があったが、Lhbを発現するLbT2細胞を用い、ZEB1をノックダウンすることでLhbの発現が上昇することを明らかにすることができた。また、RNA-Clip法を確立している研究室への移動をきっかけに、新たな手法による標的遺伝子を見つける準備を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
miR-200bとmiR-429の共通の標的遺伝子であるZEB1は、そのタンパク質の特性上、ChIPによりその標的となる遺伝子を探索することが難しい。そのため、マイクロアレイや次世代シーケンサーによる遺伝子発現解析とRNA-ClipによるマイクロRNAの標的候補遺伝子の探索を中心に、下垂体における生殖内分泌関連遺伝子制御の解明に取り組む。
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Research Products
(2 results)