2013 Fiscal Year Research-status Report
ステロイドホルモン受容体の作用機構における分子モータータンパク質の役割の解明
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24591367
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河手 久弥 九州大学, 大学病院, 助教 (20336027)
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Keywords | ステロイドホルモン / 核内受容体 |
Research Abstract |
1. ヒト脂肪前駆細胞より、RNAを調製し、RT-PCRで分子モータータンパク質のミオシン(ミオシンV, VI, VIII)およびダイニンのcDNAを合成し、GFP関連タンパク質との融合タンパク質の作成を目的として、発現ベクターへのサブクローニングを行った。現在、共焦点レーザー顕微鏡による細胞内局在の観察を行っている。 2. 現在、臨床応用されている3種類の選択的エストロゲン受容体モデュレーター(SERM)の中で、ラロキシフェン(RLX)は乳癌細胞株において、エストロゲン受容体(ER)を核小体に移行させたが、タモキシフェン(TMX)とバゼドキシフェン(BZA)処理では、ERは核質に留まっていた。乳癌以外の細胞株では、SERMによる核小体移行はほとんど見られなかった。しかしながら、ERを介する転写活性化は、これらSERMによって著明に抑制された。一方、骨芽細胞様細胞株MC3T3-C1細胞において、Runx2はオステオカルシンプロモーターの転写を促進するが、エストロゲンおよびTMX処理では、Runx2による転写促進がさらに増強されたが、RLXおよびBZA処理では、Runx2によるオステオカルシンプロモーターの転写促進が著明に抑制された。RLXおよびBZAは、破骨細胞に対してだけでなく、骨芽細胞にも作用して、骨代謝を低下させることが示唆された。 3. グルココルチコイド(GC)によるインスリン抵抗性惹起のメカニズムを解明するために、ヒト脂肪前駆細胞を用いて解析を行った。GC処理で、TXNIP遺伝子の発現上昇を認めた。細胞によるグルコースの取り込みは、GCによって阻害されるが、TXNIPをノックダウンすると、GCによるグルコース取り込み阻害が解除されることから、TXNIPが脂肪前駆細胞でのGCによるグルコースの取り込み阻害において重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. COS-7細胞株において、ステロイドホルモン受容体と分子モータータンパク質を共発現させることによって、両者の細胞内局在を解析することを目的としているが、エレクトロポレーションによる、発現ベクターの細胞へのトランスフェクションの条件検討の際に、安定して効率のよい条件が得られていない。従ってFRET解析まで至っていない。 2. 骨芽細胞様細胞株において、RUNXによる転写活性化に対するSERMの効果に関して新たな知見が得られており、こちらを重点的に解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ステロイドホルモン受容体と分子モータータンパク質が同時に効率よく発現する条件を探す。 2. アクチンや微小管の重合阻害剤やパクリタキセルなどの微小管の会合促進剤、ミオシンなどの分子モータータンパク質の阻害剤が、ステロイドホルモン受容体の細胞内挙動や転写活性化に対してどのように影響するかを解析する。 3. Runxは、微小管安定化作用を持つタキソール処理で、核外へ移行することが知られており、ステロイドホルモン受容体、分子モータータンパク質さらに細胞骨格関連タンパク質との相互作用に関して、蛍光タンパク質を用いた画像解析および生化学的解析を行う。
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Research Products
(10 results)