2014 Fiscal Year Annual Research Report
感染や組織傷害による甲状腺自然免疫能活性化の自己免疫疾患発症への関与
Project/Area Number |
24591375
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
鈴木 幸一 国立感染症研究所, 感染制御部, 室長 (20206478)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 甲状腺 / dsDNA / 自然免疫 / サイログロブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット甲状腺FRTL-5細胞にヒト単純ヘルペスウイルス(HSV)を感染させると、MHC class I, class IIの異常発現が誘導されるとともに、サイログロブリン(Tg)遺伝子発現が時間経過とともに強く抑制された。また、そのような変化はニックを入れたHSVのDNAあるいは種々の塩基配列を有する合成2本鎖DNA (dsDNA)をFRTL-5細胞に導入することで再現されたが、一本鎖DNAでは起こらなかったことからdsDNAによる普遍的な作用と考えられた。また、同様の現象はFRTL-5細胞に強い電荷をかけることによる細胞傷害や2本鎖RNA (dsRNA)の導入によってももたらされたことから、広く甲状腺細胞の自然免疫活性化によって引き起こされる現象であると考えられた。種々の甲状腺機能遺伝子の中でTgのみがdsDNAによる影響を受け発現量が低下し、甲状腺における重要なヨード輸送体であるNISのmRNA発現はdsDNAで変動しなかったが、放射性ヨード取込みは減少した。また、dsDNAによるTg 発現抑制は抗甲状腺薬であるメチマゾール(MMI)によって改善された。 これらの検討により、甲状腺において感染や組織障害により自然免疫系が活性化し、甲状腺細胞自身にMHC異常発現が誘導されることによって自己抗原の提示が可能になるような状態において、少なくとも自己抗原となり得ることが知られている様々な甲状腺機能遺伝子発現が増強するようなことは無いことがわかった。むしろ、Tg発現の低下が誘導され、ヨード輸送が低下したことは、自然免疫活性化の際に甲状腺ホルモン合成という内分泌機能が抑制されるという機序が考えられた。今後はこの点についてさらに検討が必要である。
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Research Products
(6 results)