2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロメジンSと新規生理活性ペプチドが担う新しい生体調節機構の解明
Project/Area Number |
24591376
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
森 健二 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (00416223)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生理活性ペプチド / 神経ペプチド / ニューロメジン |
Outline of Annual Research Achievements |
生理活性ペプチドは、細胞間の情報伝達を担う主要な分子であり、生体機能の調節において広範かつ重要な役割を果たしている。そこで本研究では、新たな生体調節機構の解明を目的として、研究代表者が発見した生理活性ペプチドであるニューロメジンS(NMS)の機能解析を行うとともに、新たな生理活性ペプチドの探索を試みる。 NMSを脳室内投与すると、摂食抑制など幾つかの機能を発揮することが示されているが、NMS産生ニューロンが構成する脳内神経ネットワークが不明なため、NMSの生理的役割は未だ完全には確立できていない。そこで、ラット脳におけるNMSの分布をペプチドレベルで解析して、視床下部に存在するNMS産生ニューロンの神経線維が脳幹へ投射している可能性を示した。また、脳幹では2種類の受容体のうち、2型受容体の強い発現が確認された。これらの結果は、NMSの脳幹での未だ知られていない生理的役割を示唆している。 一方、既知のペプチド前駆体タンパク質のアミノ酸配列解析により、新たなペプチド候補となるアミノ酸配列を見出した。このペプチドX(仮称)に対するラジオイムノアッセイを構築し、脳内での組織含量を測定したところ、湿重量1gあたり約30フェムトモルであった。脳組織からペプチドXの精製を試みたが精製器具などへの吸着による損失により困難であったため、前駆体タンパク質を下垂体由来細胞AtT20で発現させ精製を試みたところ、37アミノ酸残基からなるペプチドXが精製できた。ラジオイムノアッセイを用いた動物組織中での免疫学的検出と合わせて考察すると、ペプチドXは生体内で産生されていることが示唆された。また、合成した37アミノ酸残基のペプチドをラットの脳室内へ投与すると、特定の下垂体前葉ホルモンの分泌亢進が観察された。
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Research Products
(3 results)