2014 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス由来機能性RNAを標的としたホジキンリンパ腫の実験的分子標的治療
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24591378
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
和田 龍一 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20260408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢嶋 信久 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30443980)
今泉 忠淳 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90232602)
佐藤 次生 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40733001)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Hodgkin lymphoma / Epstein Barr virus / IRF3 / interferon / CCL20 / BZLF1 / BRLF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホジキンリンパ腫では、Epstein Barr virus (EBV)の感染が腫瘍発生や病態形成に関与していると考えられている。我々は、これまでの研究により、EBV感染ホジキンリンパ腫の腫瘍細胞において、自然免疫応答分子であるRIG-Iの発現の増加が見られるものの、その下流でインターフェロンの発現に関与する、IRF3の核移行が阻害されていることを見いだしている。IRF3の核移行の阻害は、CCL20の発現増加とインターフェロンβの発現の低下を来たし、腫瘍微少環境における制御性T細胞の増加と細胞障害性T細胞の低下を来たしていることが明らかにされた。IRF3は細胞内における自然免疫応答において重要な役割を果たす。一方、EBV由来の溶解関連分子はIRF3の機能を阻害することが知られている。そこで今回の検討では、IRF3の阻害メカニズムを明らかにするため、腫瘍細胞内におけるIRF3阻害物質の解析を行った。検討には高齢者のホジキンリンパ腫18例を用い、EBV感染症例が9例、非感染症例が9例であった。溶解関連分子としてBRLF1とBZLF1の発現を、免疫組織学的に検討した。その結果、BRLF1の発現はEBV感染症例の9例中7例(78%)で、EBV非感染症例の9例中2例(22%)で認められた。また、BZLF1の発現はEBV感染症例の9例中7例(78%)で、EBV非感染症例の9例中1例(11%)で認められた。ホジキンリンパ腫の腫瘍細胞内においては、EBV感染により自然免疫経路の自然免疫の経路が減弱しており、その一因として、ウイルス由来の溶解関連分子が関与している可能性が考えられた。本研究結果から、EBV陽性ホジキンリンパ腫のより効果的な治療には、腫瘍細胞内における自然免疫経路の活性化が必要と考えられた。
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