2012 Fiscal Year Research-status Report
恒常的活性化チロシンキナーゼを発現した造血器腫瘍に対する統合的分子標的療法の開発
Project/Area Number |
24591384
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三浦 修 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10209710)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 造血器腫瘍 |
Research Abstract |
造血器腫瘍細胞の発症や進展に関与する代表的な恒常的活性化チロシンキナーゼ変異体であるBCR/ABL, Flt3-ITDおよびJak2-V617Fを発現した、白血病細胞およびモデル造血細胞株を用いて検討を行い、それぞれimatinib, sorafenibおよびJakI-1にてこれらの変異体の活性化を抑制することで、etoposideやdoxorubicinによるChk1の活性化とChk1依存性のG2/M期での細胞周期arrestを抑制し、Bax活性化、ミトコンドリア膜電位障害、caspase活性化を介したapoptosisの誘導を相乗的に誘導しうることを見いだした。また、この過程にはPI3K/Akt経路活性化の抑制によるGSK3活性化を介したChk1発現抑制が関与し、GDC-0941やMK-2206等のそれぞれPI3KやAktの阻害薬が、キナーゼ変異体の抑制とほぼ同様の効果をもたらすことを見いだした。さらに、imatinibのみでなく第二世代のBCR/ABL陽性白血病治療薬であるdasatinibやnilotinibにも完全耐性を示すBCR/ABLのT315I変異体発現細胞に対しても、依然に申請者らが抑制効果を示したsorafenibのみでなく、GDC-0941やMK-2206により抗癌剤との相乗的apoptosisが誘導される事を見いだした(論文投稿中)。これらの結果はChk1を介したDNA損傷誘導性チェックポイント活性化調節の分子機構解明へ向けて重要な意義を有するのみでなく、既に臨床応用されていたり開発中の阻害薬を用いた結果であることから、BCR/ABLのT315I変異を含めた治療抵抗性造血器腫瘍に対する化学療法薬と併用した統合的分子標的療法の新規開発に直結しうる臨床的にも極めて重要な意義を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
恒常的活性化チロシンキナーゼ変異体がGSK3ßの不活化を介してDNA損傷誘導性のChk1活性化を抑制し治療抵抗性をもたらす分子機構の詳細を明らかにするとの目標に対して、これらの変異体またはPI3K/Akt経路の抑制により、Chk1の活性化とChk1依存性のG2/M期での細胞周期arrestを抑制し、Bax活性化、ミトコンドリア膜電位障害、caspase活性化を介したapoptosisの誘導をDNA損傷誘導性の抗癌剤と相乗的に誘導しうることを見いだすことにより、その一部を達成すると供に、より詳細な分子機構解明の為の実験系を確立することが出来た。また、T315I変異を有するBCR/ABL発現細胞に対する新規治療法開発へ向けての取り組みにおいても、sorafenibとDNA損傷反応との相乗効果のみならず、臨床開発中のPI3K阻害薬GDC-0941やAkt阻害約MK-2206がsorafenibと同様に、抗癌剤誘導性のapoptosisを相乗的に増強しうることを見いだすことにより、目標達成に向けて着実に研究を進展させることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後更に恒常的活性化チロシンキナーゼ変異体がDNA損傷誘導性のChk1活性化を抑制し治療抵抗性をもたらす分子機構の詳細を明らかにするため、GSK3ßによるChk1リン酸化の部位を明らかにする。さらに、ユビキチン化に関与するE3リガーゼを同定し、ユビキチン化の分子様式およびChk1活性化におよぼす影響を解明する。また、分子標的薬と抗癌剤の併用療法による異常チロシンキナーゼのproteasomeを介した分解につき、BCR/ABLとFlt3-ITDでも検討を行い、E3リガーゼを同定しユビキチン化の分子様式と意義を明らかにする。さらに、Chk1とチロシンキナーゼ変異体のproteasomeを介した抑制機構に対するHSP90や脱ユビキチン酵素( DUB ) の阻害による増強効果を、新規治療法開発へ向けて患者臨床検体やマウス実験モデル系を含めて検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)