2014 Fiscal Year Annual Research Report
恒常的活性化チロシンキナーゼを発現した造血器腫瘍に対する統合的分子標的療法の開発
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24591384
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三浦 修 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10209710)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 造血器腫瘍 / 急性骨髄性白血病 / 分子標的療法 / チロシンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス造血前駆細胞32D細胞に変異遺伝子、FLT3-ITDとFLT3-TKDを導入して32D/ITDおよび32D/TKD細胞を作製し以下の検討を行った。即ち、PI3K阻害薬のGDC-0941 (GDC)およびAkt阻害薬のMK-2206 (MK)は内因性経路によるアポトーシスを誘導し、その効果は32D/ITDに比べ、32D/TKDで強かった。また、32D/TKDにSTAT5の活性化型変異体STAT5A1*6を導入した細胞 (DY/STAT5*)では、阻害薬に抵抗性となり、32D/ITDにSTAT5阻害薬であるpimozide (PZD)を処理すると抵抗性が解除された。同様の効果をFLT3-ITD陽性ヒト白血病細胞株MV4-11で認めた。これらの薬剤は4EBP-1の脱リン酸化を32D/ITDに比して32D/TKDで強く誘導し、その効果はSTAT5A1*6導入で減弱し、PZD処理で増大した。これに伴って、翻訳開始複合体形成におけるeIF4E-eIF4G会合や抗アポトーシス因子Mcl-1の発現の抑制を認めた。このMcl-1の発現抑制は転写活性の抑制やタンパク質の不安定化とは独立した機構で生じ、外因性にMcl-1遺伝子を導入した32D/TKDではこれらの薬剤に抵抗性を示した。FLT3-ITD陽性のAML患者より得た初代培養細胞では、GDCによる4EBP-1の脱リン酸化とMcl-1の発現抑制、ひいては細胞死を、PZD処理でより強力に誘導することを確認した。本研究により、FLT3-ITDの強いSTAT5活性化がmTORC1/4EBP1経路を通じてeIF4E会合に影響を与え、PI3K/Akt阻害薬に対し、主にMcl-1 cap依存性の翻訳活性を維持することでアポトーシスを回避することが示された。
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Research Products
(4 results)