2013 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍細胞内tRNA前駆体切断酵素を効果的に利用した全く新しい白血病治療法の開発
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24591385
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 益廣 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90179531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥羽 健 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60313540)
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Keywords | sgRNA / 核酸医薬 / がん抗原蛋白 / アポトーシス |
Research Abstract |
今回デザインしたヘプタマーsgRNAを用いて、腫瘍細胞の増殖に必須なタンパクと考えられる白血病抗原等の腫瘍抗原のmRNAを阻害する方法が白血病等の腫瘍に対する治療法として応用可能である かどうかについて明らかにする目的で検討を行った。平成25年度の検討 で、sgRNAによるmRNA切断法を効果的に応用できる腫瘍抗原等の種類として、WT1, PRAME, hTERT等を選択することができた。WT1, PRAME, hTERT等のmRNAと結合して、tRNA前駆体様構造を示す様にデザインしたsgRNAを腫瘍細胞に加えることにより、腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLを用いて、腫瘍抗原mRNAを効果的に切断できることを明らかにした。このように、ヘプタマーsgRNAを用いた標的mRNAの切断が可能であることが明らかにされたことにより、腫瘍に対するsgRNAを用いた新しい核酸医薬の開発が可能であることが示された。主に白血病等の造血器腫瘍細胞を対象として、腫瘍細胞のアポトーシス・分化の抑制、増殖を促進する因子に対し、tRNA前駆体様構造を形成することができるようにデザインしたsgRNA を用いて当該mRNAの発現を抑制することにより、アポトーシスの誘導、細胞増殖の抑制が可能かどうかの検討を行い、有効なsgRNAを選択した。また、これらのsgRNAを用いた腫瘍細胞のアポトーシス誘導、細胞増殖の抑制が、我々が想定した腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLをもちいたメカニズムにより行われていることを、sgRNA処理した腫瘍細胞の当該mRNAをシークエンスすることにより確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がんに対するsgRNAを用いた新しい核酸医薬の開発を目的として、主に白血病等の造血器腫瘍細胞を対象として、腫瘍細胞のアポトーシス・分化の抑制、増殖を促進する因子に対し、網羅的にsgRNA をデザインし、当該mRNA発現の抑制、アポトーシスの誘導、細胞増殖の抑制等の検討を行い、有効なsgRNAを選択することができた。がん細胞のアポトーシスの誘導、細胞増殖の抑制が可能であったsgRNAは、WT1, PRAME, hTERT等であり、これらのsgRNAは、当該mRNAと結合してtRNA前駆体様構造をとることができ、腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLを用いて、腫瘍抗原mRNAを効果的に切断できることを明らかにした。上記のsgRNAを用いた標的mRNAの切断が可能であることが確認され、白血病等の腫瘍に対するsgRNAを用いた新しい核酸医薬の開発に道を開くものであることが示された。腫瘍細胞のアポトーシス・分化の抑制、増殖を促進する因子に対し、tRNA前駆体様構造を形成することができるようにデザインしたsgRNA を用いて当該mRNAの発現を抑制することにより、アポトーシスの誘導、細胞増殖の抑制が可能かどうかの検討を行い、有効なsgRNAを選択した。これらのsgRNAを用いた腫瘍細胞のアポトーシス誘導、細胞増殖の抑制が、我々が想定した腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLをもちいたメカニズムにより行われていることを、sgRNA処理した腫瘍細胞の当該mRNAをシークエンスすることにより確認した。このような点から、当初の研究目的に対し、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、sgRNAによるmRNA切断法を効果的に応用できる腫瘍抗原等の種類として、WT1, PRAME, hTERT等について検討した。検討結果から、これらのsgRNAは、当該mRNAと結合してtRNA前駆体様構造を示すことにより、腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLを活性化して、腫瘍抗原mRNAを効果的に切断することが明らかになった。これからの研究としては、腫瘍抗原の種類を増やして、種々の腫瘍細胞に有効なsgRNAの探索を行うとともに、複数のsgRNAの組み合わせの有効性を検討する。加えて、種々の腫瘍の治療に使用されている抗腫瘍剤とsgRNAの併用療法の効果についても検討する。がん細胞の細胞増殖抑制およびアポトーシス誘導についての検討は以下の方法で行う。いろいろな白血病細胞株や新鮮白血病細胞に網羅的に腫瘍関連抗原のsgRNAを加えて培養する。PCR法を用いて、sgRNAを添加培養した白血病細胞の当該遺伝子のmRNA発現の低下を確認するとともに、ウエスタンブロッティング法およびフローサイトメトリーを用いて、培養細胞の当該タンパク発現の阻害を確認する。加えて、sgRNAを添加培養した白血病細胞について、経時的なMTTアッセイによる細胞増殖の抑制、およびAnexin V/7AAD染色した培養細胞をフローサイトメトリーで解析することにより、sgRNAを介したアポトーシスの誘導について検討する。また、sgRNA による標的mRNA切断部位の確認についても継続する。標的腫瘍関連遺伝子に対するsgRNAで処理したがん細胞株より抽出したmRNAを用いたRACE (rapid amplification of cDNA ends)を行い、切断部位の塩基配列を同定することにより、標的mRANが、tRNase Zにより切断されていることを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度においては、当研究室で樹立した形質細胞様樹状細胞性白血病細胞株を企業の研究所に有償供与したため、外部研究資金を取得することができ、当該研究にもその資金の一部を充てることができた。そのため、本研究費における次年度使用額が生じた。 当該研究を発展させるために、今年度生じた次年度使用額は、RNA合成、レトロウィルスベクタ―作成等のほか、モノクローナル抗体、各種試薬等の消耗品の購入に充てる計画である。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Successful treatment of molecularly exacerbated CML with WT1 peptides --- association with long-term generation of WT1 tetramer+ T cells2013
Author(s)
Iwaya S, Narita M, Masuko M, Nishizawa Y, Ida T, Oiwa E, Shibazaki Y, Iwabuchi M, Satoh N, Uchiyama T, Sone H, Takahashi M
Organizer
第42回日本免疫学会
Place of Presentation
幕張
Year and Date
20131211-20131213
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