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2013 Fiscal Year Research-status Report

骨髄増殖性腫瘍における病型の進展と急性転化メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 24591401
Research InstitutionUniversity of Miyazaki

Principal Investigator

北中 明  宮崎大学, 医学部, 准教授 (70343308)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 下田 和哉  宮崎大学, 医学部, 教授 (90311844)
KeywordsMPN / AML / JAK2 / TET2
Research Abstract

遺伝子変異(JAK2V617F)によるJAK2の恒常的活性化が骨髄増殖性腫瘍(MPN)の発症に重要であることが明らかとなり、JAK2阻害薬の開発が進んでいるが、JAK2阻害剤の投与により自覚症状、脾腫、白血球増多の改善は認められるものの、明らかな腫瘍クローンの抑制や骨髄線維化の改善が認められないことが示されている。そのため、MPNの治療成績を改善するには、幹細胞レベルでの腫瘍クローンの維持と増幅、骨髄線維化などの分子機構を解明し、明らかとなった責任分子をJAK2と共に新たな治療標的に加えることが必要である。近年、MPNの発症、急性骨髄性白血病(AML)への急性転化に必要なメカニズムに関与すると考えられるJAK2V617F以外の変異が相次いで報告されているが、疾患発症、病態進行への意義は不明な点が多い。我々は、これまでにMPNのクロナリティー獲得にTET2変異が重要であること、JAK2V617F TGマウスにみられるMPNからのAML発症には、CBFβ-MYH11の共存だけでは不十分であることを示している。
我々は、JAK2V617F TGマウスとTET2低発現マウスを用いて、これらの異常が、単独または共存してMPNの病態に与える影響について検討した。JAK2V617F単独、TET2KD単独、または2重変異を有する造血細胞を放射線照射マウスに移植したところ、JAK2V617F単独変異細胞、2重変異細胞のいずれもMPNを発症させた。しかし、その骨髄細胞を2次移植すると、JAK2V617F単独変異細胞はMPNを発症させなかったが、2重変異細胞はキメリズムの増加、髄外造血による臓器浸潤と臓器腫大を生じ、MPNを発症させた。この実験から、TET2欠損とJAK2V617Fが共存することで、変異HSCが自己複製能を維持したまま病的前駆細胞を生産しMPNを発症させることが判明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

MPNに認められる遺伝子変異は、その機能により2種類に大別される。1つはJAK2V61Fに代表されるサイトカインのシグナル伝達を活性化するoncogenic driver変異である。もう1つは、TET2変異を代表とするDNAメチル化やヒストン修飾等に関わるエピゲノム制御分子の異常であり、前述のdriver 変異と共存することが知られている。我々は、JAK2V617F TGマウスやTET2変異マウス(TET2低発現マウス)を用いて、MPNの発症、AMLへの急性転化に必要なメカニズムの解明を行い、MPNのクロナリティー獲得にTET2変異が重要であること、JAK2V617F TGマウスにみられるMPNからのAML発症には、CBFβ-MYH11の共存だけでは不十分であることなどを示している。
今回、JAK2V617F TGマウスとTET2低発現マウスを用いて、これら2種類の異常が共存することが、MPNの病態、急性転化の発症にどのような影響を与えるのかに関して検討を行った。1次レシピエントでは、JAK2V617F単独変異細胞、2重変異細胞のいずれもMPNを発症させた。しかし、1次レシピエントの骨髄細胞を放射線照射マウスに2次移植すると、2次レシピエントではJAK2V617F単独変異細胞はMPNを発症させないが、2重変異細胞はMPNを発症させた。in vitro replating assayではJAK2V617F骨髄細胞は野生型細胞に対して自己複製能が低下していたが、2重変異骨髄細胞では自己複製能の回復が認められた。よって、JAK2V617F単独変異では変異HSCの自己複製能が低下し、クローンが拡大せずMPNを発症させるのが難しいこと、TET2欠損とJAK2V617Fが共存することで、変異HSCが自己複製能を維持したまま病的前駆細胞を生産しMPNを発症させることが明らかとなった。

Strategy for Future Research Activity

我々は、JAK2V617FならびにTET2低発現が、マウスにMPNの表現型および造血幹細胞の自己複製能亢進をもたらすことを見出している。現在、MPNの発症、急性骨髄性白血病(AML)への急性転化に必要なメカニズムを解明することを目的として、主にマウスモデルを用いた検討を行っている。
これまでに、JAK2V617F TGマウスとTET2低発現マウスを交配して得られた仔から造血幹細胞を採取し、放射線照射マウスに移植を行なうことにより、TET2欠損とJAK2V617Fが共存することで、変異HSCが自己複製能を維持したまま病的前駆細胞を生産しMPNを発症させることを明らかにすることができた。今後は、患者検体の解析により判明したMPNの発症、AMLへの急性転化に関与すると考えられるJAK2V617F以外の候補遺伝子変異に関して同様の技術を用いた解析を行い、疾患発症のメカニズム解明を目指す。また、これまでの研究で得られたMPNモデルマウスを用いて、疾患発症への関与が想定されるシグナル伝達系を標的とする既存の薬剤をJAK2阻害剤と組み合わせることによる治療モデルの開発を計画している。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 骨髄増殖性腫瘍の分子機構と新規薬物療法2013

    • Author(s)
      北中 明, 幣 光太郎, 下田 和哉
    • Journal Title

      臨床血液

      Volume: 54 Pages: 1697-1703

  • [Presentation] Development of new therapies for myelofibrosis(MF) that target the transcription factor USF1

    • Author(s)
      幣 光太郎, 亀田 拓郎, 下田 晴子, 上運天 綾子, 関根 雅明 , 日高 智徳, 久冨木 庸子, 北中 明, 下田 和哉
    • Organizer
      第75回日本血液学会
    • Place of Presentation
      札幌
  • [Presentation] The impact of TET2 deficiency on MPN induced by JAK2V617F mutation

    • Author(s)
      亀田 拓郎, 幣 光太郎, 関根 雅明, 上運天 綾子, 日高 智徳, 久冨木 庸子, 北中 明, 下田 和哉, 丸塚 浩助
    • Organizer
      第75回日本血液学会
    • Place of Presentation
      札幌
  • [Presentation] Impact Of TET2 Deficiency On MPN Harboring JAK2V617F Mutation

    • Author(s)
      Kameda T, Shide K, Sekine M, Kamiunten A, Hidaka T, Kubuki Y, Kitanaka A, Marutsuka K, Shimoda K
    • Organizer
      American Society of Hematology 55th Annual Meeting
    • Place of Presentation
      New Orleans
  • [Book] 血液症候群(第2版)-その他の血液疾患を含めて-2013

    • Author(s)
      北中 明, 下田 和哉
    • Total Pages
      767
    • Publisher
      日本臨床

URL: 

Published: 2015-05-28  

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