2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591419
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
肥田 重明 信州大学, 医学系研究科, 准教授 (10345762)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サイトカイン / 好塩基球 / シグナル伝達 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
多様なアレルゲンや抗原に対する免疫応答の方向性を決定するには自然免疫系細胞に発現する病原体センサーに依存したサイトカイン産生が重要である。自然免疫細胞の一つである好塩基球は抗体受容体などの細胞表面受容体を介して、2型免疫応答に重要なIL-4やIL-6等のサイトカインを産生する。しかしながら、このようなアレルゲンに対する2型免疫応答に関与する受容体やセンサー分子とその認識機構については未だ不明な点が多い。本研究課題では、アレルゲンの一つであるプロテアーゼによって培養好塩基球がIL-4等のサイトカインを分泌することに注目し、外因性・内因性プロテアーゼに対するセンサー分子の同定とシグナル伝達制御について明らかにする。これまでの研究過程で培養好塩基球によるサイトカイン産生には、プロテアーゼセンサーによる認識とIL-3によるサイトカイン産生シグナル伝達の増強作用の2つの経路が重要であることが明らかになってきた。FcRγ欠損マウス由来の好塩基球では、プロテアーゼアレルゲンの一つであるパパインによってIL-4がまったく誘導されず、FcRγ結合分子がセンサーとして機能していることが明らかになった。好塩基球に発現するFcRγ結合分子の解析から、候補分子は数種類存在し、受容体自身が切断される場合と受容体以外の切断されたペプチドが受容体に結合する場合の両方のシグナル伝達機構があると考えられた。現在、質量分析等によるプロテオーム解析を行い、プロテアーゼによるサイトカイン産生のシグナル伝達機構について、受容体の認識機構も含めて詳細に解析している。また、プロテアーゼによるサイトカイン産生はIL-3の存在下で増強されることから、IL-3誘導性の制御分子の同定も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FcRγ分子を介するIL-4産生シグナルは、PIR-B分子の発現によって抑制される受容体経路(IL-3受容体など)と抑制されない受容体経路(IgE受容体など)があることが分かった。これまでの解析からプロテアーゼセンサーはPIR-Bによって制御をうけない受容体のグループに属することが示唆され、レトロウイルスベクターを用いたFcRγ結合分子群の高発現系によって、数種類の候補分子を同定した。これらのプロテアーゼセンサー候補分子を高発現させた細胞にプロテアーゼを作用させることで、センサー分子の切断の有無やタンパク修飾について調べたところ、幾つかの分子では分子量の変化が観察されず、受容体を直接切断している可能性は低いことが示唆された。現在、候補分子に結合しているペプチドについて、プロテオーム解析を行っている。また、IL-3によるIL-4産生亢進作用に関与する遺伝子群についても、レトロウイルスによる遺伝子発現やshRNAによる発現抑制系を用いて解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析等によるプロテオーム解析によって得られた結果から、プロテアーゼセンサー分子に結合している分子もしくは、受容体の切断部位の同定を行う。さらにshRNAを用いた発現抑制系やプロテアーゼ耐性変異分子を作成することで、プロテアーゼによるサイトカイン産生の変化について確認する。IL-3依存的なサイトカイン発現増強に関与する分子についても同様に候補遺伝子群から同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
外注予定であった質量分析などのプロテオーム解析が、学内の総合研究施設の機器を利用できるようになり、当初計画よりも安価に完了した。また、検体保存用フリーザ等の購入を次年度以降に変更したため、次年度使用額が生じたことも理由として挙げられる。次年度は、細胞培養、動物実験による機能解析が主となる。使用予定額は以下の通りである。1.試薬類・器具等1,400千円、2.動物購入・飼育費用500千円、3.旅費200千円、4.論文投稿・掲載費用200千円、5.共通機器使用料200千円、6.検体保存用フリーザ400千円
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Research Products
(10 results)