2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト未分化CD34抗原陰性造血幹細胞の特性と分化経路・階層制の解明
Project/Area Number |
24591432
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
薗田 精昭 関西医科大学, 医学部, 教授 (60206688)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | CD34 / SRC / HSC / MPL / IBMI |
Research Abstract |
今年度は、われわれが独自に開発した骨髄内直接移植(IBMI)法を用いて、ヒト臍帯血中に世界で初めて同定に成功した非常に未分化な造血幹細胞(HSC)であるCD34抗原陰性(CD34-)SCID-repopulating cell (SRC)(Blood 101:2924,2003)の更なる幹細胞特性の解明を行った。 本研究では、われわれが新たに開発した18種類のLineage (Lin)抗体を用いるnegative selection法(CD34-HSCを1/1,000の頻度まで高度に濃縮純化できる(Blood 114:336,2009; Exp Hematol 39:203,2011)を用いて標的細胞を純化した。本法で純化した18Lin-CD34-細胞におけるMPLの発現とその機能的意義について、18Lin-CD34+CD38-細胞を対照として詳細に検討した。 18Lin-CD34+/-分画におけるMPLの発現率は、各々42%、27%であった。CD34-MPL+細胞は、高い巨核球コロニー、赤血球+巨核球混合コロニー形成能を示した。次に、限界希釈法で18Lin-CD34+/-MPL+/-分画におけるSRCの頻度を測定した。その結果、CD34+MPL+分画(1/48)、CD34+MPL-分画(1/146)、CD34-MPL+分画(1/580)、CD34-MPL-分画(1/1597)であった。これらの4分画細胞をNOGマウスにIBMI法で移植し、6か月毎に1,2,3次移植を行って長期ヒト造血再構築能について検討した。その結果、CD34+/-SRC共にMPLを発現していない分画で3次移植マウスの生着が認められた。 以上より、ヒト未分化HSC(SRC)のhierarchyは、CD34-MPL->CD34+MPL->CD34+MPL+> CD34-MPL+の順であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画1)ヒト未分化HSCの陽性マーカーの同定と純化については、MPLの発現について詳細に検討した。その結果、ヒト未分化HSC(SRC)のhierarchyは、CD34-MPL->CD34+MPL->CD34+MPL+> CD34-MPL+の順であることが示唆された。以上より、MPLはヒト未分化CD34-HSC(SRC)の陽性マーカーというよりは、機能性マーカーであることが明らかになった(第54回米国血液学会発表、投稿準備中)。 並行して、18Lin-CD34-細胞分画における陽性分子マーカーについて網羅的な解析を行い、有望な分子マーカーを2つ(X, Y)同定した。ヒト臍帯血由来CD34+/-SRCは、すべてX+分画に認められ、18Lin-CD34-X+分画におけるCD34-SRCの頻度は約1/140であった。また、18Lin-CD34-X+Y+分画におけるCD34-SRCの頻度は、概算で1/10と推測され、18Lin抗体を用いるnegative selection法(CD34-SRCの頻度1/1000)に比較して、2つの陽性マーカーを用いることにより、約100倍の濃縮純化が可能になった(未発表)。 本年度の研究計画2)に関しては、ヒト骨髄より樹立したDP MSCを用いて、ヒト臍帯血由来18Lin-CD34-細胞との共培養系で、CD34+CD38-CD90+SRCが産生されることを明らかにしている。現在、平成25年度以降の研究計画に記載した本共培養系を用いるヒト未分化HSCの対外増幅システムの開発にすでに着手している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、CD34-SRCの有望な陽性分子マーカー(X,Y)を同定した。そこで、この2つの陽性分子マーカーを用いて、CD34-SRCを高度に純化(頻度1/10)することが可能になった。そこで、18Lin-CD34-X+Y+分画を用いて、NOGマウスへの単一細胞移植を用いるヒト造血再構築系の開発、確立に取り組む。本系の確立により、1個のCD34-SRC(HSC)の幹細胞特性(自己複製能、多分化能、可塑性など)のさらなる解明やヒト未分化HSCのhierarchyの解明が進展するものと期待される。 また、高度に純化したHSC集団を用いるgene chip解析により、HSCの維持・増幅に重要な新たな機能分子の発見・同定も可能になるものと期待される。 併せて、研究計画3)4)に記載したヒト未分化HSCにおけるCD34抗原のreversion、CD38抗原のreciprocalな発現、さらに、ヒト骨髄由来DPMSCを用いる共培養系によるヒト未分化HSCの体外増幅系の開発・確立に取り組む予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、主に、標的細胞の分離や培養、SRCの測定、解析に必要な試薬、培養器具、モノクローナル抗体、サイトカイン、NOGマウスなどを購入する物品費として使用する予定である。この他、国内の学会(日本血液学会など)の参加のための旅費として使用する予定である。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Functional significance of MPL expression in the human primitive hematopoietic stem cell compartment.
Author(s)
Takahashi M, Matsuoka Y, Iwaki R, Nakatsuka R, Fujioka T, Kohno H, Matsui K, Asano H, Sasaki Y, Kaneko K, Sonoda Y.
Organizer
The 54th Annual Meeting of the American Society of Hematology
Place of Presentation
Atlanta (USA)
-
-
-
-
-