2013 Fiscal Year Research-status Report
マイナー抗原特異的免疫療法による免疫誘導能評価の標準化に関する研究
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24591435
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Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
赤塚 美樹 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 客員研究員 (70333391)
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Keywords | 抗原提示細胞 / マイナー組織適合抗原 / 同種造血細胞移植 |
Research Abstract |
本研究の目標は、標準化可能な抗原提示細胞(APC)の開発であり、マイナー組織適合抗原(mHAg)およびWT1などの腫瘍抗原についてもAPCを作成することである。ペプチドパルスによる非生理的な方法ではなく、内在性に抗原エピトープを発現させ、かつ抗原量を調節できるシステムの構築を目標とする。 当初のKozak配列を変換して発現量の異なるmHAgエピトープ・β2m・拘束性HLA単鎖発現APCの作製であったが、Kozak配列の変換だけでは抗原量制御に限界があったため、平成25年度は①薬品添加でmRNAの発現量を調節できるプロモータをもつベクターの導入を試みと、②作成したAPCを用いて抗原特異的T細胞の培養条件の設定を目標とした。 ①関して克服すべき問題が見出された。従来HLAが発現していないとされていた721.221 LCLに少量のHLA発現が確認された他、HLA欠損のK562に外来HLA cDNAを強制発現する場合に内在性抗原と目的抗原とで競合が起こることであった。このため721.221 LCLは不適と考え、K562をベースとした。このK562のTAPを不活化し内在性抗原の発現を抑制するためにICP47発現ベクターを作成した。さらにTAP遺伝子の完全ノックアウトを行うためCRISPR-Cas9ベクターを作成した。エピトープ・β2m・HLA単鎖発現ベクターの代わりに、最小エピトープとTAP非依存性にHLAにエピトープを供給できるベクターを全mHAgエピトープと有用な癌抗原について再作成した。TAP欠損T2/ A24細胞に陽性コントロールに使うCMV pp65 QYDエピトープを発現した系において、最少エピトープ導入細胞は該当CTLに殆ど認識されず、TAP非依存性エピトープ導入細胞は良好に認識された。課題②については、抗原発現系の改修が完了していないため保留とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度に発現量の調節系を確立し培養条件設定まで行う予定であった。このうち、TAP非依存性エピトープベクターやICP47発現レトロウイルスベクター等は完成したものの、まだK562に順次組み込みを行う途上にあり、T細胞との共培養条件の設定には至っていない。また、安定株を作成することを目標にして、TAP遺伝子ノックアウトベクターをK562細胞に遺伝子導入し、TAP遺伝子完全ノックアウト細胞株のクローン化を目指したが、K562細胞へのベクター導入効率の低さのために、両アリルをノックアウトし得たTAP遺伝子改変K562細胞のクローニングが完成していない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策 平成25年度に完成予定であった両アリルTAP遺伝子ノックアウトK562クローンの樹立を早急に行う。スクエアパルス電気穿孔による導入効率不良ため、コンディションメディアを用いる最新の電気穿孔装置を用いる。クローン化が完了すれば、引き続き組み込むべきHLAやTAP依存性ミニ遺伝子ベクターは完成しているので、着実に目標とするAPCのラインアップを充実させる。次いでもともと平成25年度の検討課題であった、in vitroアッセイ系の確立および、mHAg不適合移植症例の移植後末梢血試料を用いたアッセイを行う。過去に樹立したmHAg特異的CTLの細胞傷害性の確認は終了しているので、作成したAPCによるこれらCTLクローンの活性化能、増殖刺激能を確認する。この際、添加するサイトカインの至適濃度やスケジュールを決定する。この条件設定は今後の養子免疫療法への応用が期待される。 次いで、抗原提示細胞の提示mHAgに対応するmHAgの不適合移植を受けた患者末梢血を刺激し、CTLの誘導能の確認を行う。以上の検討の上で方法論が確立できた場合に臨床試験を通じて採取、凍結保存された末梢血単核球細胞試料について同一条件で培養を行い、mHAg特異的CTL免疫反応のワクチンによる誘導・ブースター効果について評価する。 次年度の研究費の使用計画 本年度は上述のように、両アリルTAP遺伝子ノックアウトK562クローンの樹立が大きな課題となる。上記TAP非依存性エピトープを組み込んだテトラサイクリン誘導型ベクターを導入し、発現量のコントロールが可能か、またそれがどれくらいのペプチドパルス量に相当するかを検討する。CTLのアッセイには細胞傷害試験用のアイソト-プ等が必要となるほか、サイトカイン測定のためのELISAキットないしは抗体ビーズの購入が必要となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に購入した物品の支払いが26年度になったため。 変更は生じない。
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Research Products
(5 results)