2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞遊走及びサイトカイン産生を標的とした関節リウマチの新規治療薬開発の基礎的検討
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24591442
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩田 哲史 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (00396871)
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Keywords | 接着分子 / 関節リウマチ / アダプター蛋白質 / インテグリン / シグナル伝達 / Nedd9 / Cas-L / マグロライド |
Research Abstract |
1)β1インテグリン下流シグナル蛋白質Nedd9/HEF1/Cas-Lのノックアウトマウスを用いた関節炎モデルのサイトカイン産生、細胞遊走能を中心とした病態解析: 我々は、ヒトT細胞において接着分子であるインテグリン刺激によりチロシンリン酸化される主要な蛋白としてNedd9/HEF1/Cas-L(以下Cas-L)を同定し、この蛋白質と関節リウマチとの関連を探求してきた。本研究において、Cas-Lノックアウトマウスを用いたコラーゲン誘発関節炎の解析から、同マウスでは関節炎の重症度が低下することを明らかにした。また、同マウスでは、血清中の炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6, IL-1β, IL-17A)の低下・抑制性サイトカイン(IL-10)の上昇が認められた。これらのサイトカインバランスの異常は、同マウスでの炎症の遅延と関節炎の軽症化の一因とも考えられる。 2)マクロライド化合物ロキシスロマイシン新規誘導体5-Iの抗リウマチ作用とサイトカイン産生制御作用の解析: 我々は、マクロライド化合物の免疫調節作用・抗リウマチ作用を報告してきた。本研究において、抗菌作用のない新規マクロライド化合物5-Iを導出し、その 炎症性サイトカイン抑制とマウスコラーゲン誘導関節炎抑制効果を見出した。さらに、ヒトリンパ球を用いたマイクロアレイ解析の結果、5-I及びロキシスロマイシンは、Th17細胞への分化に重要な核内転写因子RORtの発現を抑制することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1)および課題2)で得られた知見をまとめ、それぞれについて現在投稿論文を準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)サイトカインバランスの異常からCas-Lノックアウトマウスでは、Th17, Tregなどへの細胞分化の異常を伴う可能性を考え、脾細胞、罹患関節へ遊走しているリンパ球の表面マーカー解析を行うとともに、Tリンパ球のpopulation異常が認められた場合は、in vitroでのTh17, Tregへの分化誘導実験で検証するとともに、Cas-Lノックアウトマウス及び野生型マウスのコラーゲン誘導関節炎罹患関節(骨・軟骨・滑膜)を用いたマイクロアレイ解析を行い、その結果も併せて遺伝子を絞り込み、定量PCR解析で検証する。 2)5-I及びロキシスロマイシン(Rox)によるROR-γtの抑制作用を解析するため、転写活性アッセイにより検討する。また、細胞に、ROR-γtとそのレポーターを導入する実験系を用いて検討を行う。また、実際に5-I及びRox添加によりTh17細胞への分化が抑制されるかどうか、in vitroでマウスリンパ球を用いて解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資材の入手困難(実験用マウスの発育の遅れ) 以下の実験計画を併せて実施する: コラーゲン関節炎モデルマウスに投与し、Cas-L及び複合体形成蛋白の制御により関節炎を治療できるか検討するとともに、骨髄細胞にコンストラクトを導入し、キメラマウスを作製して、関節炎に対する軽減効果があるかどうかを解析する。
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Research Products
(4 results)