2012 Fiscal Year Research-status Report
滑膜線維芽細胞の脂肪分化誘導における上皮間葉移行分子機序の解明
Project/Area Number |
24591448
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉山 英二 広島大学, 病院(医), 教授 (70179167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 聡士 広島大学, 病院(医), 病院助教 (30367388)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜細胞 / 脂肪分化 / 間葉系幹細胞 / 上皮間葉移行 / サイトカイン / プロテアーゼ / PPAR |
Research Abstract |
我々は滑膜細胞の脂肪分化誘導は関節リウマチの病態を改善するというコンセプトをもとに、滑膜細胞活性化、脂肪分化、上皮間葉移行の3つの現象を分子の動きで捉えようと試みている。 <滑膜細胞活性化>DNA arrayを用いた網羅的遺伝子発現の検索によりこれまでに我々が同定し得た脂肪分化によるIL-6の低下が改めて確認された、一方で脂肪分化によって誘導されるインターロイキンは皆無であり、脂肪分化誘導によるサイトカイン抑止は確定的と考えられる。また、今回マトリックスメタロプロテアーゼの発現を検討したところ、関節リウマチに重要なものが低下している事が判明した。これらのでーたは滑膜細胞の脂肪分化誘導により慢性炎症と関節破壊の2つの側面が抑制される事を示している。 <脂肪分化>炎症により脂肪分化が抑制される事を報告してきた。現在炎症を乗り越えて脂肪分化を誘導できる方法を検討している。この目的の為、以前よりコンパウンドTを検証しているが、さらにコンパウンドAとMを共同研究によって検証する事にしている。 <上皮間葉移行>脂肪分化誘導と細胞の分化状況や運動能力を、主に細胞骨格と転写因子に解析により検討している。特に細胞骨格では類似の細胞である間葉系幹細胞とも異なる特有の挙動を示している分子もあり、滑膜細胞に特徴的な分子の挙動を捉える事が期待される。 以上のように、関節リウマチにおける滑膜細胞を脂肪分化誘導という動的変化の中で解析していく作業を積み重ねており、その一部は目標に達している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、滑膜細胞活性化、脂肪分化、上皮間葉移行の3つの解析の柱に沿って研究を展開している。滑膜細胞活性化に関しては、包括的解析とその検証作業をへて論文化に成功している(投稿中)。滑膜細胞の脂肪分化誘導による関節リウマチの治療戦略のプルーフオブコンセプトとして重要な達成である。脂肪分化誘導の効率化に関しては、他大学との共同研究が軌道に乗り、いくつかの候補薬剤によるより効率的な脂肪分化誘導の確立を目指した研究が開始されている。この点では予定より早い状況と言える。しかし、上皮間葉移行に関する研究では、新たな分化制御と炎症環境に関する基礎的な検証であり、現時点では未だ模索状態であると言わざるを得ないが、いくつかの分子の動きを蛋白レベルで捉える事に成功しており、着実に研究を進めていく事で、炎症と脂肪分化に関して新たな知見を提供したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究も当初の方針通りに以下の研究の柱に沿って実行していく。 <滑膜細胞活性化>インターロイキンおよびマトリックスメタロプロテアーゼに関して網羅的な検証が完了している。今後、1)ケモカイン 2)破骨細胞 に着目した解析を展開していきたいと考えている。具体的には遺伝子解析と細胞生物学的手法を組み合わせて、病態と関連するパスウェイを浮かび上がらせて、これを症例を集めいて検証するこれまでの手法に準ずる。 <脂肪分化>現在入手しているコンパウンドT、A、Mの脂肪分化誘導能力およびサイトカインやプロテアーゼ産生抑制能力を確認する。良好な結果が得られれば、モデル動物を使用した関節炎抑制効果を検証したい。 <上皮間葉移行>滑膜細胞は間葉系幹細胞の性格を有しているが、明らかに異なる点も存在している。脂肪分か誘導という変化の中でこれらの細胞が表す分子の動きに着目し、滑膜細胞と間葉系幹細胞の区別、すなわち勝つ膜細胞の特徴を浮かび上がらせる発見につなげたい。具体的には現在網羅的遺伝子発現のデータを有しているので、これを手がかりに関節リウマチの病態と矛盾のない滑膜細胞独特の性質に関してのデータを蓄積していく。現時点では細胞骨格に関して興味深いデータが得られており、間葉系幹細胞の脂肪分化誘導系との比較の中で滑膜細胞特有の分化様式などの特徴を捉える事を目指したい。 以上のように、今後も関節リウマチにおける滑膜細胞を脂肪分化誘導とこれに関わる3つの事象を平行して、当初の予定通り細胞生物学的手法を駆使して解析を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)細胞培養:ほぼ全ての実験が細胞生物学的手法を用いており、脂肪分化誘導および通常の継代細胞培養に必要な消耗品の購入が必要である。具体的には、脂肪分化誘導培地(Lonza社)、滑膜細胞維持のためのDulbecco's modified Eagle's medium(DMEM), fetal bovine serum (FBS)、抗生剤、トリプシン、各種細胞培 養プレートなどである。 2)標的分子の検出系:標的分子をタンパク質レベルで検出する必要があるため、標的分子の抗体の購入および、ウェスタンブロット法、フローサイトメーター、免疫染色、Enzyme linked immunoabsorbant assay (ELISA)など必要な消耗品の購入を行う。具体 的にはウェスタンブロット法、フローサイトメーター、免疫染色用の一次抗体、PCR用のプライマー、細胞固定液、洗浄液、蛍光色素付2次抗体、及びこれらのアッセイに必要な消耗品、ELISAキットである。 3)研究成果を国内外の学会で発表する為の旅費が必要である。
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[Journal Article] The diagnostic utility of anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody testing for predicting the prognosis of Japanese patients with DM.2012
Author(s)
Koga T, Fujikawa K, Horai Y, Okada A, Kawashiri SY, Iwamoto N, Suzuki T, Nakashima Y, Tamai M, Arima K, Yamasaki S, et al.
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Journal Title
Rheumatology (Oxford).
Volume: 51
Pages: 1278-84
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 滑膜細胞におけるKLF4の機能解析2012
Author(s)
山崎聡士, 岡田覚丈, 一瀬邦弘, 中村英樹, 川尻真也, 玉井慎美, 鈴木貴久, 寳來吉朗, 折口智樹, 川上純.
Organizer
日本リウマチ学会
Place of Presentation
東 京 グランドプリンスホテル新高輪
Year and Date
20120426-20120429