2013 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチの関節破壊を促進する単球と関節修復に関わる単球の解析
Project/Area Number |
24591455
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
瀬田 範行 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40338372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑名 正隆 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50245479)
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Keywords | 関節リウマチ / 末梢血単球 |
Research Abstract |
申請者はこれまで関節リウマチ(RA)病態形成における末梢血CD14+単球の役割を解明するため研究を行ってきた。その中で健常人末梢血にはほとんど存在しないCD14+CD15+CD34+細胞がRA患者末梢血には有意に存在すること、CD14+CD15+CD34+細胞はCXCR4の発現が低いことを見いだした。一方、骨芽細胞や軟骨細胞へ分化しえる単球由来多能性細胞の前駆細胞が多く含むCD14+CXCR4high細胞が健常人と比べてRA患者末梢血中では少なく、高活動性RA患者末梢血中で更に少ないことも見出した。この研究成果から、これら細胞がそれぞれ「関節破壊を促進する悪玉単球と関節修復に関わる善玉単球」であるという仮説を着想した。そこで本研究は、関節を障害するCD14+CD15+CXCR4low細胞と、関節を保護するCD14+CD15-CXCR4high細胞の数的および質的違いを明らかにすること目的とした。平成24年度はフローサイトメトリーを用いた検討で、末梢血中の関節を障害する単球と保護する単球の比率はRA患者では健常人に比べて有意に関節を障害する単球へと偏奇していた。そこで、平成25年度はこの二つの細胞群の遺伝子発現プロファイルを検討するために、RA患者23例と健常人12例の末梢血単核球をそれぞれプールし、フローサイトメトリーを用いて関節を障害する単球と保護する単球を分離し、IL-1β;、IL-6、IL-8、TNFα、MCP-1、CCR1、CCR2、CCR5、CX3CR1の遺伝子発現を半定量的 PCRまたはReal-time PCRで比較した。結果はIL-6、TNFα、CCR5は関節を障害する単球で、CX3CR1は関節を保護する単球で発現レベルが高かった。このようなケモカイン受容体の発現パターンの違いから、関節を障害する単球と保護する単球は異なるケモカインにより動態が制御されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の終了時点で平成25年度は、関節を障害するCD14+CD15+CXCR4low細胞と関節を保護するCD14+CD15-CXCR4high細胞の質的違いを明らかにするために、二つの細胞群の遺伝子発現の違いを比較検討し、さらに関節炎モデルマウスの末梢血単球のCXCR4、CD15、CD34の発現をフローサイトメトリーで継時的に解析することで、関節炎発症時における関節を障害する単球と関節を保護する単球の動向を分析することを目標としたが、平成25年度中に本研究の目的のひとつである関節を障害するCD14+CD15+CXCR4low細胞と関節を保護するCD14+CD15-CXCR4high細胞の質的違いを十分に明らかにすることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度のもう一つの研究目標として関節炎モデルマウスを用いて関節を障害する単球と関節を保護する単球の動向等を分析を掲げていたが、マウスの末梢血中単球では細胞表面マーカーを用いて明確にこの二つの細胞群を見分けることは困難であることが判明した。そこで、今後は当初の研究計画に立ち返り、RA患者の治療前後の末梢血を用いて、治療による関節を障害する単球と関節を保護する単球の数的、質的変化をフローサイトメトリーやPCRや分化誘導培養などを行い解析することとした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度研究費の未使用額の発生は、効率的な物品調達を行った結果である。 平成25年度研究費の未使用額は次年度の研究費と合わせて消耗品の購入に充てる予定である。
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