Research Abstract |
本研究ではRA滑膜組織培養において破骨細胞(OC)が形成され,in vitroで骨吸収を来す過程でのIL-17ファミリーの変動に着目した.RA滑膜組織培養におけるin vitro骨破壊の過程におけるIL-17ファミリーの変動,Th17細胞が産生するサイトカインやTh17細胞の分化に関わるサイトカインの変動を検討するが,本年度は研究の妥当性を確認する目的で,まずRA滑膜炎組織および培養滑膜細胞におけるIL-17A,IL-17Fの発現の検討を行った. RA患者より同意のもと,人工関節置換術時に滑膜組織を採取し,抗ヒトIL-17A(一部Fと交差)抗体および抗ヒトIL-17抗体を用いて,IL-17ファミリーのRA滑膜炎組織における局在を検討した.滑膜表層細胞下に浸潤する単核球にIL-17A,IL-17F陽性細胞の集積がみられた.また,RA滑膜炎組織由来の細胞培養では,OCの形成が始まる培養6日の免疫組織染色でIL-17A,IL-17F陽性細胞がみられた.変形性関節症滑膜由来の細胞培養ではリンパ球は非常に少なく,IL-17 A,F陽性細胞は明らかでなかった.免疫組織化学的にIL-17A,F陽性細胞が確認できたので,次年度では滑膜組織/細胞の培養上清のIL-17ファミリーおよびIL-6,IL-21,22,23,IL-1ra,TGFβ,TNF,TNFR,VEGF,MCSF,RNAKL,OPGなどを多項目同時解析手法で解析する. DBA/1Jマウス骨髄細胞培養系を用いて,OC形成におよぼすIL-17/IL-23系の影響を検討する予定であったが,非刺激下でのOCの形成が悪く,本研究ではLewisラット骨髄細胞を用いた.ラット骨髄細胞培養では,自己骨髄液添加により十分量のOCの形成がみられたため,次年度ではラット骨髄細胞を用いてIL-17A,F,IL-22,TNFα,IL-6等の影響を検討する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
収集したRA あるいは変形性関節症(OA)滑膜組織・細胞培養上清のIL-17ファミリーおよびTh-17細胞が産生するその他のサイトカイン(TNFα, IL-6, IL-22)やTh17細胞の分化誘導に関わるIL-23,IL-21,TGFβ,Th1および Th2 サイトカインをCapture antibodyを結合させたbeadsとサンプルをarray内で反応させ、サンドイッチ法イムノアッセイで多種類の蛋白を同時に定量する多項目同時解析手法(Multiple Analyte Profiling:MAP)を行う。 Lewisラット骨髄細胞を用いた破骨細胞形成系において、IL-17A, IL-17F, IL-6,IL-21, IL-22, IL-23,IL-1ra, TGFβ,TNFα, TNFR,VEGF,MCSF,RNAKL, OPGの破骨細胞の形成と骨吸収活性に及ぼす影響を検討する。
|